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2005年6月28日 (火)

黒幕?

いま発売中の『正論』7月号に「吉川英治とX氏」(兵頭二十八)という見開き2頁のエッセイが掲載されています。

吉川英治の小説「宮本武蔵」の新聞連載にあたって、吉川英治に指図を与えた黒幕X氏が存在した、という内容の文章です。

そこで指摘されている、小説「宮本武蔵」は当初は200回ほどで完結する予定であったものが国民的人気を得たために最終的に1013回まで連載が継続された、というのは紛れもない事実です。
このことを筆者は、X氏の指図によるものと書きます。それも、単に回数を引き延ばすことのみでなく、吉川英治は「国民に覚悟を注入する」内容となるように指図を受けていたと、“断定”しています。

筆者がどのような考えを持とうが、それは“自由”です。
しかし、その考えに至った経緯と根拠を示さなければ、それは妄想に過ぎません。
ところが、筆者は断定するだけで根拠も示さず、その上、「初期の人気に目を着け、英治に作品の方向性まで指図するようになった黒幕X氏がいったい誰なのかは、さっぱり分からない」と書いて平然としています。
短いエッセイだからといって、これで論が成立するなら何とでも言えます。
X氏はフリーメーソンでも、ムー帝国人でも、金星人でもOKです。

もちろん、吉川英治が戦時中の国家の宣伝活動と無縁だったなどと言うつもりはありません。当時の軍人・官僚に多くの知己を持っていたことも確かです。
また、小説「宮本武蔵」も、国家の宣伝活動に寄与したという文脈から、戦後、何度も批判を受けています。
しかし、寡聞にして、国家内の黒幕から指図されて書いた作品である、という批判というものは見たことがありません。

筆者は、軍学者を自称し、宮本武蔵に心酔する人物のようです。
おそらく吉川英治の宮本武蔵観とは異なる意見をお持ちなのでしょう。
ならば作品の内容について批判を加えればよいのです。
にもかかわらず、わざわざ架空のX氏を仕立て上げて、何か陰謀が存在したかのように書く理由が、私には「さっぱり分からない」のです。

私は浅学な人間ですから、目を通していない資料はいくらもあります。
ですから、根拠ならばちゃんとある、ということであるならば、私としても勉強になりますので、是非お教え下さい。
よろしくお願い致します。


本日付で300万人まで残り500人を切り、あと450人となりました。

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