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2005年7月 2日 (土)

風呂

吉川英治の「宮本武蔵」には、その他にも講談や絵本(今の絵本ではない、江戸時代から明治頃までに出版された簡単な読み物)の中に出てくる挿話をヒントにした部分があります。

例えば。

講談や絵本における宮本武蔵は、父親の仇である佐々木巖流を追い求めて武者修行しながら諸国を旅するということになっていますが、その中にこんな挿話があります。

備前岡山にやって来た武蔵は、そこで道場を開いている白倉傳五右衛門と試合をし、これに勝つ。
負けた白倉は、感服の体で武蔵に食事を振舞い、さらに風呂を勧める。
武蔵が言葉にしたがって浴室に入ると、白倉はその戸を外から閉めて、浴室に熱湯を注ぎ込んで武蔵を殺そうとする。
怒った武蔵は、浴室の柱を引き抜き、戸を打ち破って外に出ると、とどめを刺そうと待ち構えていた白倉の門弟たちをなぎ倒し、白倉を打ち殺す。

さて、「宮本武蔵」地の巻「茨」の章に、又八が生きていることを伝えるために危険を犯してお杉婆の家を訪ねた武蔵に対し、お杉婆が食事を用意してやるからそれまで風呂に入っておれと勧め、武蔵が入浴している隙に追手の兵を呼び寄せるが、武蔵は辛くも逃げおおせる、という場面があります。

その類似性は言うまでもありません。
しかし、これとても、元をたどれば、平治の乱の後、源義朝が姦計にあって風呂場で殺されたという「平家物語」の挿話に到るものなのでしょう。


本日付で300万人まで残り300人となりました。

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