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2005年7月20日 (水)

横浜

吉川英治は港町・横浜に生まれ育ったにも関わらず、その小説中にあまり海が描かれない、と書きました。

別に、港町に育ったからと言って、海洋小説やその類の作品を書かねばならない義理はありません。
ただ、船というのは限られた空間の中でサスペンスを高めていくことが出来る、創作の上で非常に魅力的な素材ですし、港町というのは様々な人が出入りするため物語を生み出しやすい場所なのに、どうしてだろうと不思議に思うのです。

家運の没落で辛酸をなめた土地だけに、横浜への思い入れが薄いのでしょうか。

もっとも、その一方で、横浜を舞台に、自らの青少年時代の経験も色濃く反映させた作品を書いてもいます。
昭和5~6年に『週刊朝日』に連載された「かんかん虫は唄う」がそれです。
この作品では貧困層から見た明治の横浜の姿が、生き生きと描き出されています。

あわせて自叙伝「忘れ残りの記」も読むと、現在の横浜の繁栄の陰にある裏面史が、生々しく浮かび上がってきます。

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