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2005年8月12日 (金)

ペンネーム

名前の話に戻します。

「吉川英治」はペンネームであると書きましたが、それについてはこんな文章があります。

 英治――戸籍面は英次と書き、父母は幼時より彼を呼ぶにヒデツグといひ、人様はヒデさん、或は大将さんとよび、友の悪童はヒデッピイとよんで彼を揶揄へり。
 エイジと呼ばれ初めたるは処女作「親鸞」の出版に次を治と誤植されてそのままになりたるがたしか初めなりやと思ふ。

これは「現代大衆文学全集続10巻 吉川英治集 江戸三国志」(昭和6年5月10日 平凡社)のあとがきとして掲載された『著者小伝』の一節です。

これを詳しく説明すると、こうなります。

大正11年、当時、東京毎夕新聞に勤務していた吉川英次は、会社からの業務命令で、「親鸞記」という小説を紙面に連載することになります。
それまでに書いた小説はいずれも投稿用の単発作品で、これが生まれて初めての連載小説となりました。
実はこの作品、連載時は無署名でした。
社員の書いた作品だからそれでもいいということだったのでしょう。
この作品は、連載終了後の大正12年、単行本化されました。
単行本には、ちゃんと著者名として吉川英次の名が印刷されました。

では、誤植とは?

実は、この単行本が出版される際の広告で、≪吉川英治≫と誤植されたのです。

この年、関東大震災をきっかけに新聞社を辞めた吉川英次は、専業の作家となります。
その際、≪英治≫の方が文字のすわりが良いと思い、ペンネームを吉川英治としたのです。

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