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2005年8月17日 (水)

やさしいむつかしい

吉川英治記念館のミュージアムグッズの一つに扇子があります。
吉川英治が扇面に揮毫した書の複製を扇子に仕立てたものです。
sensu

この扇面には、中央に「門」の一字があり、その左右に「やさしい むつかしい」と書かれています。

先日、ミュージアムショップに陳列してあるその扇子を見ながら、「これはどういう意味だ?」と首を傾げている方がいらっしゃいました。

吉川英治に、そのものずばり「やさしい・むづかしい」という随筆があります。
そこにはこう書かれています。

むづかしい、としたら極まりなくむづかしい。
やさしい、としたら、これも限りなくやさしい。
すべての道がそうである。
むづかしい、と近づき難くするのもまちがいなら、やさしいと、見くびって、何もかも安易に、形の真似事だけにしてしまうのも、堕落である。
どっちがほんとなのだろうか。
(略)
やさしい。
むづかしい。
どっちもほんとだ。然し、むづかしい道を踏んで踏んで踏みこえて、真に、むづかしさを苦悩した上で、初めて、
――やさしい
を知った人でなければ、ほんものではない。

どのような道も、極めようとすれば、むずかしい。
しかし、極めてしまえば、そこには融通無碍な境地がある。
その融通無碍な境地は、形だけを見れば、とてもやさしいものに見える。
その形だけを真似て、やさしいと思うのは誤りであって、「むずかしい」を越えた「やさしい」でなければいけない。

要約すればそういうことになります。

この「やさしい むづかしい」という言葉、野村克也氏(元南海・ヤクルト・阪神監督)が一時よく好んで使っておられました。
吉川英治は茶道や華道を例にとってこの随筆を書いたのですが、野球にも通じるところがあるということなのでしょう。

なお、扇子の他に、ミュージアムグッズとして販売している色紙の中にもこの「やさしい むづかしい」と書いたものがあります。

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