« 京阪神取材旅行 | トップページ | 京都・奈良取材 »

2005年9月10日 (土)

伊豆半島旅行

「新・平家物語」の取材旅行の同行者は、連載していた『週刊朝日』の編集者と挿絵担当の杉本健吉であることがほとんどです。
しかし、この取材旅行(5)の伊豆半島の旅には、ある人物が同行しています。

志賀直哉です。

志賀直哉と吉川英治では、文学史的にはほとんど接点はなく、意外な感じがしてしまいます。
実は、この旅の前年、昭和26年の夏、両者が軽井沢に滞在していた時、朝日新聞社の編集者を介して志賀直哉が吉川英治所有の自動車を借りたことがきっかけとなって、交流が始まったようです。

さて、何度も書きますが、吉川英治は日記を書かない人でした。
それに対し、志賀直哉はこまめに日記をつけており、それは「志賀直哉日記」として公刊されています。
この旅のことも、そこに細かく記載されていますが、読んでみると、実におもしろい。

なかなかやって来ない吉川一行にイライラしたり、偶然やって来た浜本浩を「人間昔と余り変化なし」と評したり、泊まったホテルのことを「団体向きの宿にて感じ悪し」とけなしたり。

一方、吉川英治の方は、この旅については、紀行文を残していません。
そのため、「新・平家物語」連載後に、吉川英治と杉本健吉と朝日新聞社の関係者が集まって、この旅について語る座談会を行い、それが単行本「随筆新平家」に『伊豆の巻』として収録されています。
そこには、この「志賀直哉日記」からの引用も織り込まれており、志賀の目線からの描写と、吉川英治の見方の両方を味わえます。

ぜひご一読を。

|

« 京阪神取材旅行 | トップページ | 京都・奈良取材 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/104645/5873617

この記事へのトラックバック一覧です: 伊豆半島旅行:

« 京阪神取材旅行 | トップページ | 京都・奈良取材 »