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2005年9月29日 (木)

新発見

『新嘉坡日報』という資料を購入しました。
古書店の目録によると、吉川英治の中編小説「菊一文字」が掲載されているというのです。

届いた資料を見てみると、確かに「菊一文字」のタイトルが。
売りに出ていたのは二日分ですが、そのうち昭和6年6月3日号に第45回、翌6月4日号に第46回が掲載されています。

「菊一文字」は雑誌『現代』大正15年1月号~7月号に掲載された作品で、これは再録ということになりますが、この再録については今まで当館では把握しておらず、その意味では新発見です。

掲載紙の『新嘉坡日報』ですが、≪新嘉坡≫は言うまでもなくシンガポールのことで、つまりシンガポールで発行されていた二つ折り4ページの邦字新聞です。
紙面からは、日刊紙であること、発行人は長尾正平であることということはわかりますが、それ以上のことはわかりません。国会図書館でも所蔵はしていないようです。

発行人の長尾正平は金子光晴と関係があるようですが、それ以上のことは調べきれておらず、よくわかりません。
また、なぜ吉川英治の「菊一文字」がこの新聞に掲載されるようになったのかの事情もわかりません。
おいおい調べていきたいと思います。

さて、ここからは、多少お遊びの要素もありますが、作品が何時から何時まで掲載されたのかを、推測してみます。
再録なので原稿の遅れによる休載はありえないことと、『新嘉坡日報』が日刊であることを考慮するならば、昭和6年6月3日が第45回なので、毎日掲載されたとして同年4月21日が第1回になるはずです。
一方、吉川英治文庫版で確認してみると、小説の本文は小見出しを除いて2325行。
『新嘉坡日報』は掲載にあたって小見出しを除外しているので、この正味の行数で考えてみると、第44回の終りまでは1790行で平均が約40.7行。
それに対し、第45回分が41行、第46回分が39行であり、ほぼ同じ分量で掲載していることがわかります。
このペースが最後まで保たれるなら、第47回以降、あと11回掲載すると、最後に7行余ります。
余りが少ないので、11回で掲載すると考えましょう。
すると、最終回は毎日掲載で同年6月15日となるのではないかと思われます。
特別なことがなければ、4月中に連載を始めて、6月中には終わるという状況のようです。

遥かかなたのシンガポールの地で、たった3ヶ月弱連載されていたに過ぎないものが、よくぞ出て来てくれたものだと、ちょっと感動してしまいます。

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コメント

新嘉坡日報について

 いささか旧聞ですが、新嘉坡で検索していて       この記事を読みメールを書いています。私は現       在77歳ですが、6才から9才半まで、英領植       民地であったシンガポールにおりました。当時       から日本人が多く、在外指定校として新嘉坡日       本小学校(日本人ではなく日本となっていたのは、      英国に対する配慮で日本人以外でも可と言う意味)      ですが、日本と全く同じ教科書を使った当時海外      では最大の小学校て゛学びました。
 この同窓会がいまだに存続し、閉校が昭和16年     の太平洋戦争開始時です、一番若い卒業生でも73歳    ですから、稀有なことで皆さん驚かれます。年に一度    今年もこの4月23日銀座で45名も参加しています。   会報も発行し、96歳の唯一元気な先生が佐賀から一    人で参加されました。
 前置きが長くなりましたが、その中にこの新聞発行    者の長尾正平氏の次男の次郎君(私より一年下)が何時    も出席しているので、新発見の記事をコピーして渡し    ておきました。 何らかの連絡があるかもしれません。
 金子光晴氏は昭和初期にマレー半島のゴム園などに    行き、シンガポールにも立ち寄っています。       『マレー蘭印紀行』として作品があるはずです。      その時長尾氏に会われたのでしょう。
当時日本人は3千人ほどいたはずです。新聞も、      もう一つ南洋日々と言うのがありましたが、我々より    も年代がもう一つ上の方々なので、存命されていない    し、子供であった次郎君も細かいことは分らないでしょう。
 当時のことを今の日本人会と協力し、戦前の写真と    記録を一冊の本にしていますし、たまたま知り合った    友人の物書きに、戦前のシンガポール社会史なる本も    書いてもらいました。新聞のことはそれほど詳しくは    記してありませんが、ご興味があれば発行社などお知    らせします。
                     以上

投稿: おさかな より | 2006年4月25日 (火) 21時28分

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