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2005年10月 1日 (土)

萩すすき

いわゆる≪秋の七草≫とは、ハギ・ススキ・クズ・ナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・キキョウを指します。
草思堂庭園では、このうちクズとナデシコ以外の5種を見ることが出来ます。

この≪秋の七草≫を詠んだ吉川英治の句にはどんなものがあっただろうと、ふと思い、調べてみたのですが、不思議なことに萩とすすきのものばかりで、他のものは出てきませんでした。

ちょっと列挙してみましょう。

右国上五合庵道花すすき

これは明日まで開催中の特別展「新・平家物語」紀行展でも取り上げた会津・越後取材旅行の際に新潟で詠んだもので、これを書いた軸を展示しています。
もちろん、良寛が一時住んだ所として知られる国上山の五合庵のことです。
ちなみに、この時は自動車の車窓から国上山を眺めただけで、五合庵には行っていません。

病むもよし病まば見るべし萩すすき

これは棋士の升田幸三に対して贈ったもの。
体調を崩して休養していた升田に対し、焦らず、心のゆとりを持つように促したもの。

菊池寛百歩ほど歩くすすきかな

昭和13年、ペンの部隊の一員として中国戦線を視察した際に、同行した菊池寛を詠んだもの。

居るうちはあなたまかせの萩の宿

吉川英治も、案外色っぽい句を作るのです。

湯河原や野分の後のこぼれ萩

これは以前にも紹介しましたが、こうして二句並べると、より艶っぽい感じですね。

雨しとどどの窓見ても萩すすき

それにしても、花としてはキキョウが好きだったと聞いていたのですが、どうして萩すすきばかりなのでしょう。
ただ、俳句とは言い難いものでならば、遊びで製作した楽焼にこんな言葉を書き残しています。

ききょうはみんな浅間を向いて咲いてゐる

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コメント

「右国上 五合庵・・・」の句の同じ掛け軸と、吉川英治が「人間山本五十六」の反町栄一に宛てた書簡が蟹江町で公開されますが、何かこの二人の接点など関係があるのでしょうか。

投稿: 水郷楽人 | 2006年11月 1日 (水) 19時49分

水郷楽人様
「五合庵」の句は、昭和26年に吉川英治が『新・平家物語』の取材旅行で新潟を訪れた際のものですが、この時、反町栄一は案内役として一日同行しています。
その日は、新潟の宿を出て弥彦神社や順徳院などを巡り、その間に上記のように国上山を車から眺め、長岡の反町邸も訪ねています。
つまり、国上山の句を作った時に反町栄一もその場にいたわけです。
即答できますのは、以上のようなことで、この時以前に既に両者の交流があったのか、これ以後はどうか、ということについては、少し調べる必要があります。
ところで、蟹江町で公開されると言う吉川英治の反町栄一宛書簡ですが、公刊されている吉川英治の『書簡集』には未掲載のもので、私も知らなかったものです。
もう少し詳しい情報をお教えいただけるとありがたいのですが。

投稿: 片岡元雄 | 2006年11月 3日 (金) 00時43分

情報ありがとうございました。
資料についてですが、英治俳句2点と書簡が2点の計4点です。
俳句は「蟲りんりん あらしの中も 啼きやまず」
   「右國上 五合庵道 花すすき」
書簡は2通とも英治氏から反町栄一氏宛となっています。
 昭和26年10月16日 旅行の際のお礼
 昭和30年12月30日 信濃川の鴨のお礼と年末の挨拶
26年は、多摩郡から
30年は、港区から発送となっています。

投稿: 水郷楽人 | 2006年11月 3日 (金) 12時46分

水郷楽人様

この度は貴重な情報をお寄せいただき、誠にありがとうございます。

改めて伺いますが、書画類と書簡の公開というのは、どういう形で行われているのでしょうか。
資料館などでの展示でしょうか。
展示されているのであれば、時間が許せば見学に行ってみたいのですが。

かなり詳細な情報をお教えいただきましたが、これは何に基づくものなのでしょうか。

ご教示いただけると助かります。

なお、昭和26年10月16日付の書簡ですが、吉川英治が反町栄一に案内してもらったのが、10月13日で、旅行から帰宅したのが10月15日ですから、帰宅してすぐに送ったもののようです。

一方、昭和30年12月30日付の書簡ですが、調べて見ますと、当時の吉川英治の秘書が残した日誌に12月20日付で反町栄一から鴨2羽を贈られたことが記載されています。
秘書のメモには同日付で「礼状済」とあります。
お教えいただいた書簡の日付と合いませんが、この時吉川英治は熱海の別荘で過ごしていたので、留守宅で鴨を受け取った秘書が、とりあえず礼状を送り、後日吉川英治自身から改めて礼状を送ったものと思われます。

というようなことが想像できる面白い情報でした。
本当にありがとうございました。

投稿: 片岡元雄 | 2006年11月 3日 (金) 16時52分

片岡様

こちらこそご丁寧な説明をいただきまして重ねてお礼を申し上げます。
「12月30日 机業かたづけの日々 英治」 
と結ばれています。やはりそんな雰囲気を感じさせられますね。

なお、12月3日まで蟹江町歴史民俗資料館(毎週月曜・祝日休館)で公開されています。

投稿: 水郷楽人 | 2006年11月 4日 (土) 08時21分

水郷楽人様

12月3日までですね。
あと1ヶ月あるので、なんとか時間を作って見学に行きたいと思います。
ありがとうございました。

投稿: 片岡元雄 | 2006年11月 4日 (土) 10時24分

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