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2005年10月 8日 (土)

たばこ

先日、吉川英治はヘビースモーカーだったと書きました。

吉川英治の喫煙は、16歳頃から始まったそうです。
吉川英治は小学校卒業目前に、家の没落から学校を退学して働きに出されるという少年時代を送っています。
その際に、年長の労働者から影響を受けたか、あるいは日々の苦しみを逃れるために遊び歩く中で不良仲間から教わったものか、おおむねそのあたりなのでしょう。

最盛期の喫煙量は紙巻たばこで80本ぐらいだったと言いますから、すごいものです。

昭和32年の随筆「押入れの中」には、あまりの本数に自分でも惧れ出して、たばこの量を減らすために≪きせる≫にしてみた、ということが書かれています。
きせるは面倒だし、人前ではちょっと恥ずかしくて取り出しにくいし、しかし、そのおかげでどうやら節煙がうまくいきそうだ、ということを書き、それに続けて、

――で、同病の人々へ報告したい。ひとつ、きせる党になってみたら如何でしょうか。ただし、恋人をお探し中の紳士などには、元よりこれは魔除け同様な役目をするので、とてもおすすめは出来かねるが。

などと暢気なことを書いています。

随筆の書かれたのは、ちょうど「新・平家物語」の連載を終え、作品を書いていなかった時期。
まもなく「私本太平記」の執筆が始まると、執筆時の習慣ということもあり、結局もとの通り紙巻たばこに戻ってしまったそうです。

エピソードとしては微笑ましい話ですが、結局肺がんによって命を落としたことを考えると、笑えない話でもあります。

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