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2005年10月 4日 (火)

朝の来ない夜はない

ある新聞社から、この言葉がどの作品に出ているか教えて欲しいという電話がありました。

この『朝の来ない夜はない』という言葉は、吉川英治の座右銘とされるものの一つです。

これは、若い日、貧困に耐える生活を送っていた時期に、吉川英治が母親からよく言い聞かされてきた言葉だそうです。
したがって、ある作品を書く中で生み出した言葉というわけではなく、作家となる以前から吉川英治の心にあった言葉なのです。

問合わせてきた記者の方には、おおむねそんなことを答え、それで一応の用は足りたのですが、その記者の方がその際にこんなことをおっしゃいました。

ネットで検索してみると、「私本太平記」にこの言葉が出てくると紹介しているサイトがあるが、ネットのことなので確証が欲しくて、と。

電話だったので即答できませんでしたが、確認してみると、確かに「私本太平記」の中に、この言葉は出てきます。
作品の最終章『黒白問答』で、盲人たちが足利尊氏の法要を営みながら、戦乱の世相について問答を繰り広げる中に、登場します。

問合わせにはありませんでしたが、この言葉は「新・平家物語」にも出てきます。
こちらには、『朝の来ない夜はない』というそのまんまなタイトルの章があります。
源頼朝が挙兵するも、石橋山の合戦に敗れる場面で、この言葉も登場しています。

さて、記者の方の言葉が気になったので、ネットで検索してみると、この言葉が「私本太平記」に出てくるという話の他に、もう一つ、この言葉をこういう形で紹介しているサイトが多数見つかりました。

よし今度も立派に乗り越えてみせるぞ。朝の来ない夜はないのだから

多数と言っても、ことネットだけに、元は一つで、あとはコピーしたものでしょう。
最も詳しく記載されたサイト(それが元でしょうか)では、これは吉川英治が亡くなる直前に見舞い客に対して語った言葉だ、としています。
そのサイトには参考文献名が出ていますが、あいにく当館では所蔵していない本です。
その参考文献自体が、何かを参考にして書かれたものだろうと踏んで、心当りの本を片っ端から見ているのですが、そんな話がまったく見当たりません。

出所がわからないなんて、気持が悪い。
近いうちのその参考文献を探しに図書館に行ってみたいと思います。

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コメント

今朝ラジオでこのフレーズを聴いて思いがけず涙がほろほろとこぼれたというJR職員の話がありました。
ネットで探して辿り着きました。
ありがとうございました。

投稿: 片貝孝夫 | 2009年11月29日 (日) 08時26分

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