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2005年12月10日 (土)

戦国後家

昨日再録を確認した「戦国後家」という作品を、改めて読みかえして見ました。

時は豊臣秀吉の時代。いわゆる朝鮮出兵の最中。
朝鮮への出兵を求められながら、それを拒否している≪殺生関白≫こと豊臣秀次は、伏見まで養父・秀吉の病気見舞いに来ているのだが、石田三成らによって登城を拒まれて、秀吉に会うことが出来ない。
そんなある日、石田三成の配下の武士が≪後家見舞い≫に忍んで来たのを見咎めた秀次は、その武士を斬り、その首を往来に晒す。
石田に恥をかかせてやったと溜飲を下げる秀次だが、策を弄することでは何枚も上手の三成から、手ひどく意趣返しされてしまう。

およそ、そんな話です。

ちなみに≪後家見舞い≫とは、夫を亡くした、あるいは夫が出兵中で留守にしている女性の元に夜這いをかけること、です。

昨日も書いたように、この作品の初出は昭和7年。
満州事変勃発の翌年です。

そのせいか、朝鮮出兵を拒む秀次の人間像が、どこか卑小に描かれているように感じます。

しかし、そんな秀次を憐れむような描写よりも、

戦好きな太閤殿下のおかげで、日本中に、何万といふ、後家ができたとは、おもしろい。なんだ、かだと、捏ねまはしてゐるうちに、朝鮮は、埒があかず、日本は、後家で充満してゐる。皮肉ぢやな。――だから、わしは戦嫌ひぢや。誰が、なんといはうと、軍には出ぬのぢや。

という秀次の嘯きの方に、私などは共感してしまいます。

昭和7年の読者が、この作品をどう感じたか。
それに対し、再録された昭和30年の読者は、同じこの作品をどう読んだのか。

聞いてみたい気がします。

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