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2006年3月 4日 (土)

納税

確定申告の時期ですね。

当館の資料に、吉川英治の秘書が残した業務日誌というものがあります。
その昭和30年6月17日の部分に、こんな記述があります。

品川区役所より特別区民税三〇年度分納入告知書送附あり。直ちに区役所税務課を訪れ、従来吉野村にて村民税納付し有る事実を申し入れ納入告知書を返納す。

吉川英治は、昭和28年に吉野村(現・青梅市)から品川区北品川に転居しています。
そのため、品川区が区民税を納付するように通知してきたわけです。
しかし、実は、吉川英治は転居の際に吉野村に住民票を残したままにしており、住民税は吉野村に対して納めていました。
その事情を話し、品川区には納税できないことを伝えに行った、そういう記述です。

都会である品川区と違い、さしたる産業もない吉野村にとっては、吉川英治の納める税金は非常に大きな比率を占めていました。
何しろ、吉川英治は昭和34年には高額納税者番付の作家部門で1位になっているくらいですから。
一説には、村の住民税収入の8割にも及んだとも言います。

この事は、吉野村にとって大きな支えとなったことでしょう。
また、吉野村が昭和30年に合併によって青梅市に編入されても、引き続き吉川英治は青梅市に税金を納め続けました。

その金額が累計でどれほどになったのか、私は吉川家の人間ではないので、詳しくは知りません。

しかし、吉野村・青梅市に大きな恩恵をもたらしたことは、間違いありません。

ちなみに、以前、田中康夫長野県知事が同様のことをやろうとして批判を受けました。
でも、納めた税金の使い道を納税者が自由に決められないのなら、納める先ぐらいは自分の納得できる場所に決めたいものですよね。

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