« キング・コング | トップページ | »

2006年4月 6日 (木)

村上元三

4月3日に、村上元三氏が亡くなりました。

村上元三氏と言えば、吉川英治の「宮本武蔵」に対して、戦後初の時代小説として「佐々木小次郎」を書いた作家です。

天稟に満ちた若き美青年という吉川英治が創出した小次郎像を引き継ぎつつ、吉川武蔵のストイックな求道主義に対して、小次郎のロマンティックで多感な青春を描いた作品になっています。

昭和16年に「上総風土記」で村上氏が直木賞をとった時、吉川英治はその選考委員でしたが、面識を得たのは戦後のことで、親しく会話を交わすようになるのは、村上氏がその直木賞の選考委員に加わった昭和29年以降のことのようです。

吉川英治とは同郷で、境遇も似た長谷川伸に師事した村上氏に、その長谷川伸の近況を聞くのが、会話の際の常であったとか。

ある時、年を取るにしたがって、ますます師匠のことがこわくなると言う村上氏の言葉に、吉川英治は「うらやましいなあ」と答えたと言います。
小学校中退で文学の師を持つことのなかった吉川英治にとって、師をおそれる感覚というものは、経験のないものであり、そうした師弟関係があるということに羨望を覚えたのでしょう。

村上氏は享年96歳だそうです。

70歳で世を去った吉川英治は、きっとそのことにもあの世で「うらやましいなあ」とつぶやいているような気がします。

なんだか変な感じの文章になってしまいましたが、村上氏には、ご冥福をお祈り申し上げます。

|

« キング・コング | トップページ | »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« キング・コング | トップページ | »