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2006年5月13日 (土)

マザコン

昨日触れた「夏隣り」(随筆集「折々の記」所収)という随筆の最後に、吉川英治はこう書きます。

母は、確実に、子の胸に住む。三十年前に亡くした母も、まだ、ぼくの想いの中には、そこはかとなく生きている。だからぼくは妻へも正直に云っておく。ぼくにとって、この世で知った女性のうち、第一の恋人は母だよ、と。

同じようなことは複数の随筆に書き残しています。
例えば、

僕は種々に思うが青春時代の恋愛などは青春期にあっては人生で一番良い絶対的なものとして陶酔するが長い人生を通して見るとどうしても恋愛は第二義的なものになると思う。
ほんとに忘れられない「愛」は母の「愛」だと思う。母の愛だけは、特に思い出そうとしなくても、何かの生活にふれる度にフッと思い出す。そしてそのことを考えている間は、自分は童心に帰り、青年期の夢、励み、希望を思い出して、一つの力となり人生の生甲斐となっていることが多い。

恋愛至上主義的な昨今、こんなことを言えば、その男性は≪マザコン≫呼ばわりされ、女性から毛嫌いされることでしょう。

しかし、そういう女性も、自身が母親となれば、案外、我が子からそのように思われることを望んだりするのです。

堂々巡りですね。

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