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2006年8月24日 (木)

吉川英治賞トリビア-2

引き続き、吉川英治賞をめぐるあれこれ。


☆吉川英治文学新人賞を受賞して芥川賞を受賞した作家がいる。

一般的に、吉川英治文学新人賞はエンタテインメント系の賞とされています。
それと同じ系統にあるのは直木賞で、芥川賞は純文学系の賞とされています。
ですから、過去に11人が吉川英治文学新人賞受賞後に直木賞を受賞しているわけです。

その中にあって、花村萬月さんは1998年の第19回吉川英治文学新人賞を「皆月」で受賞し、その同じ年の上半期に第119回芥川賞を「ゲルマニウムの夜」で受賞しています。

ちょっと珍しいパターンです。


☆吉川英治文学新人賞と吉川英治文学賞の両方を受賞している作家は3人いる。

北方謙三さん、高橋克彦さん、伊集院静さんです。

北方謙三=4回(1983)「限りなき夜」⇒38回(2004)「楊家将」
高橋克彦=7回(1986)「総門谷」⇒34回(2000)「火怨」
伊集院静=12回(1991)「乳房」⇒36回(2002)「ごろごろ」

吉川英治文学賞は、長年にわたってエンタテインメント系で実績を残した作家が受賞することが多い賞です。
もっと砕けた言い方をすると、エンタテインメント系では『あがり』の賞です。
ですから、今後こうした例は増えるでしょう。

ちなみに、こうした賞の性格上、直木賞受賞作家が、後に吉川英治文学賞を受賞するケースはたくさんあります。
というより、過去42人の吉川英治文学賞受賞者のうち、33人が直木賞を受賞していますから、受賞していない方が少ない。

具体的に名前を挙げるのは申し訳ない気もするので、ここを見て、ご自分でお調べください。


☆吉川英治文学賞受賞者には1人だけ作家ではない人がいる。

尾崎秀樹さんです。
第24回(1990)に、「大衆文学の歴史」という上下巻の大著で受賞しています。

これは、大衆文学研究会を組織するなど、長年にわたって≪大衆文学の評論≫という分野を開拓し、確立していった功績に対して、という意味合いも含んでいます。

吉川英治は生前、大衆文学にはまともな評論がない、ということをしばしば嘆いていました。
その意味では、作家ではない尾崎さんの受賞は、賞の名前に適ったものと言えるでしょう。

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