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2006年8月 8日 (火)

貧しさと貧乏

電話で問い合わせがありました。

吉川英治の有名な川柳は「貧しさもあまりの果ては笑い合い」ですか、それとも「貧乏も……」ですか?

これは吉川英治が大正時代に川柳家・雉子郎として活躍していた頃の代表句です。
貧乏も行きつくところまで行ってしまったら、もうつらいとか何とか言うより、笑うしかない、というような句です。
英治自身の味わった貧困生活が、反映された句でもあります。

で、これは、「貧しさ……」が正解です。
この句に「貧乏も……」では、いささか語感が硬すぎる気がします。

ちなみに、「貧乏も……」で始まる句が別にあります。

貧乏もある日はたのし梅の花

ところで、この句ですが、私はてっきり、「どんなに貧乏な暮らしでも、何か臨時の収入があったりして、たまにはちょっとお金がある日もある。そんな日には、いつもよりちょっと贅沢をして楽しみましょう」というような意味なのだと思っていました。
つまり、「有る日」は楽しいのだと思っていたのです。

ところが、先日この句の書かれた軸を展示のために拝借したところ、

貧乏も或る日はたのし梅の花

と書かれていました。
つまり、「貧しい暮らしの中にも楽しみはある、ご覧、梅の花も咲いているよ、花を楽しみましょう」というような句だったのですね。
お金の「有る無し」ではなく、心をあり方を言っていたのです。

気がつきませんでした。
どうも私は発想が即物的でいけませんね。

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