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2006年9月14日 (木)

諸田玲子さん

9月2日は諸田玲子さんによる「吉川英治賞受賞作家と語るひととき」。

具体的に年齢を書くと怒られるかもしれないのでそこは伏せますが(笑)、諸田さんは外資系企業のOL、編集プロダクション勤務を経て、作家デビューした、という経歴から、まずは話が始まりました。

そのことについて、諸田さんは、何かを始めるのに年齢がいくつであっても遅すぎるということはない、むしろ自分の場合、社会経験を積んできたことが、作家としてプラスになっていると、最近は思うようになった、と話されました。
以前は、もっと若い時に作家になっていたら、もっといろんなことが勉強できたのに、と思っていたそうですが、最近はこのように考えるようになったのだ、と。

このあたり、10代から様々な職を経て、30歳を過ぎてから専業の作家としてデビューした吉川英治の文学観に相通じるものがあります。

その吉川英治について、架空の人物であるお通を、あたかも実在するように宮本武蔵と切っても切れない存在にしてしまった、その力はすごいと述べ、自分も清水の次郎長について、そういうお通のような架空なのに実在と思い込まれるような存在となる人物を創作したい、と語られました。

というのも、諸田さんはずっと次郎長周辺の人物を主人公にした作品を書いておられるのですが、実はご自身が次郎長の末裔で、いつか次郎長を書きたいと思っているのだそうです。
子供のいなかった次郎長の養女となった次郎長の兄の娘が母方のご先祖なのだとか。
そりゃあ、書かないわけにはいきませんね。

これを言うとみんな笑うんだけど、と言って、私は長年時代物を書いているうちに人間が優しくなってきた、と語られました。
それは、いろんな時代のいろんな人たちの人生というものを調べて書いているうちに、人間は決して良いところばかりではないが、それはいつの時代の人間にも共通して言えることなのだと気付き、人間に対する愛おしさを覚えるようになったからだそうです。

そんな諸田さんは近年、現代物の執筆にも手をつけておられます。

諸田さんは編集プロダクションに勤務していた頃、テレビの脚本のノベライズを手がけていて、その中で向田邦子さんの作品を多く扱い、その影響も強く受けたそうです。

この編プロ時代、向田さんの作品に限らず、現代物ばかりノベライズしていたことの反動もあって、時代物を書く作家になったのだけれど、その向田さんが飛行機事故で亡くなった時の年齢を超えたことで、向田さんから、そろそろ現代物も書いてみたらと背中を押されたような気がした。

そんなことを語られました。

この他、あまりおおっぴらには言い難い話もありましたが、そのへんは参加者特典ですね。

ちなみに、前週の宮部みゆきさんはすごく早口で、しかも時間を超過して話されたので、聞き直して内容をチェックするのに少し時間がかかりましたが、諸田さんは落ち着いた語り口調で聞き取りやすく、録音を止めて聞き直す必要がなくて、助かりました。

面白かったのは、宮部さんと諸田さん、同じことに言及されたこと。
それは文学賞にノミネートされた時の話。

賞の発表の日、受賞か落選かは電話で伝えられるそうですが、その電話が作家本人宛にかかってくると受賞、担当編集者などにかかってくると落選という暗黙のルールがあるのだとか。

さて、16日の浅田次郎さんもこの話に触れるでしょうか?
ちょっと楽しみです。

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