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2006年11月18日 (土)

読書随所浄土

読書と言えば、吉川英治が好んで揮毫した言葉にタイトルに挙げた「読書随所浄土」というのがあります。

私の前任者の調べによると、これは中国の名言集『酔古堂剣掃』中にある言葉だそうで、全体では

閉門即是深山
読書随所浄土

したがって、吉川英治はその後半だけを取り出して揮毫したことになります。

この言葉は、菊池寛も好んだ言葉で、高松市の菊池寛記念館には、この言葉を揮毫した色紙が所蔵されています。
こちらは全文が書かれています。
元々は菊池寛の方が先で、吉川英治は後からこの言葉を知って好むようになったようです。

吉川英治は随筆「菊池寛氏と私」で、菊池寛がこの言葉をよく揮毫していたということを紹介しています。
そこでもう一つ菊池寛が好んだ言葉として

但看花開落
不謂人是非

というものを紹介しています。
ちなみに文中では「但ダ看ル花ノ開落スルヲ。謂ワズ人ノ是非」と読み下しています。

そして、これらの古語を戦時中好んで揮毫していたと述べ、

戦時中の菊池さんの心裡を私はいつもそれらの辞句から読んでいた。

と続けています。

ただ、吉川英治は「戦時中の菊池さんの心裡」と書きますが、私にはリベラリストを自負しながら否応なく戦時体制に飲み込まれ、その挙句に公職追放の憂き目にあって逼塞していた戦後の姿の方が、よりしっくりくるような気もします。

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