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2006年12月13日 (水)

琴の爪

暦上の討ち入りの日付が12月14日ということもあって、この時期、何かと忠臣蔵の話題が出ます。

忠臣蔵と言えば、吉川英治がお気に入りで、講演や随筆で再三にわたって触れているエピソードに「磯貝十郎左衛門の琴の爪」の話があります。

討ち入り後、細川家にお預けとなった大石内蔵助他17名の中に、討ち入りを行った旧赤穂藩士のうちで最年少の磯貝十郎左衛門がいた。
世話役の細川家家臣・堀内伝右衛門の残した記録によると、一同切腹と沙汰が決まり、それぞれが衣装を改めて切腹に向かった後、残された衣服を片付けていると、磯貝十郎左衛門の服の袂から袱紗に包んだ琴の爪が出てきた。

そんな話です。

秘めた恋の存在を思わせるこのエピソードは、真山青果によって「元禄忠臣蔵 大石最後の一日」として歌舞伎になっていたり、澤田ふじ子も「幾世の鼓 磯貝十郎左衛門と多佳」という短編小説に仕上げていたりしますが、吉川英治も、やはり小説化しています。

それが「べんがら炬燵」という短編。

お気に入りのエピソードを小説化したものですが、秘めた恋の話よりは、討ち入り後切腹までの最後の日々を送る大石たちと堀内伝右衛門の交流、そして伝右衛門の抱える家庭の問題の方に紙幅が割かれています。

同じエピソードを元にする以上、「琴の爪の女」をどのように設定するかが重要なポイントですが、上記の2作品と比較すると、そのあたりはちょっと物足りない感じもしますが、恋の物語とは別の味わいのある作品です。

初出は『週刊朝日』昭和9年新春特別号。
現在も刊行されている吉川英治歴史時代文庫76「柳生月影抄 名作短編集(二)」(講談社)に収録されていて、今でも読むことが出来ます。

ここでも読めますが、本を買って他の短編も読んでみてください(笑)

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