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2007年3月22日 (木)

「ナイトミュージアム」鑑賞

せっかくなので、映画「ナイトミュージアム」を観に行きました。

舞台が博物館ということで、身につまされること多々。

映画の中の事件の端緒となるのは、入館者の減少に悩むニューヨークのアメリカ自然史博物館が、人件費の節減のため、それまで3人いた夜間警備員を全員解雇し、新たに1人だけ警備員を雇おうとしたこと(その新人警備員が主人公)。
当館も、入館者の減少に合わせて、警備会社に駐車場の警備員を依頼する日数を減らして、経費を抑えているので、他人事ではありません。

堅物で神経質な博物館の館長が、館内ガイドの女性職員に、子供が展示物に触れないようにちゃんと監視するように注意する場面があります。

わかるなぁ、その気持ち。

どうして人間は、触れるなと表示があるものを触ろうとし、入るなと表示がある場所に入ろうとするのでしょう。
好奇心のなせる業なのはわかりますが、そこをちょっとだけ理性を働かせてもらえれば、お互い気持ち良く過ごせるのですが。

それと、子供がはしゃぎまわるのは、他の来館者への迷惑になりますし、当館のような場所ではその子供自身の怪我にもつながります。
子供を大人の秩序に従わせるべきなので、大人が子供の論理におもねってはいかんでしょう。

しかし、一番感じたことは、博物館というのは危険な場所だな、ということ。

博物館の展示は、一見静かなものに見えて、その背景には、色々な「罠」が潜んでいます。
博物館はただ資料を並べているわけではなく、その内容や構成を考え、決定する人間がいます。
展示には、その人間の考え方、思想、イデオロギー、何と言ってもいいですが、そういうものが「表現」されているのです。

私は実際のアメリカ自然史博物館に足を運んだことはありません。
ですから、映画の中に登場した展示物が、どの程度実際のものと一致しているのかは、わかりません。

その上で言いますが、映画に現れている展示は、いささか白人中心的過ぎやしないでしょうか。

チラッとだけ出てくる、アメリカ大陸横断鉄道工事での中国人労働者や、重要な登場人物であるアメリカ先住民女性サカジャウィアなどの描写は、あれで良いのでしょうか?

かのアッチラ大王を、幼児期のトラウマで粗暴な大人になってしまったかのように扱うのは、コメディとは言え、どうなのでしょう?

映画としてのデフォルメはあるにせよ、アメリカ自然史博物館もそれで良しとしたからこそ、この作品が公開されているのでしょう。
したがって、映画に透けて見えるイデオロギーは、実際の展示にも見えるものなのでしょう。

博物館の展示をそのまま真に受けてはいけません。
博物館は安全な死んだ施設ではありません。
危険な生きた施設なのです。

そんなことを感じる映画でした。

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