« 吉川英治じゃない吉川英治記念館 | トップページ | 平家物語帖 »

2007年4月25日 (水)

樋口一葉書簡

≪秘蔵コレクション展――吉川英治じゃない吉川英治記念館≫の展示資料ですが、まずご紹介するのはこれ。

半井桃水宛樋口一葉書簡

吉川英治が蒐集したもので、一時、英治から永井龍男に譲られましたが、吉川英治没後に吉川家に戻され、後に当館に移管されました。
既に存在は知られていたもので、全集類にも紹介されているものです。

書簡本体だけを巻子にしたもので、封筒がないのですが、明治25年7月8日のものとされています。

半井桃水は、一葉の小説の師であり、恋人でもあった人物として知られますが、筑摩書房版「樋口一葉全集 第四巻(下)」(1994年)によれば、この書簡は二人の交際の噂が広がり、そのために別離した2週間ほど後のものだそうです。

同書に掲載された読み下しを参照しながら書簡を見ると、一葉の桃水への複雑な想いが感じられます。

お前様御男子でなきか私し女子
でなきかいづれに致せ男女の
別さへなくは此様にいやなこと
も申されず

例えば、このような一節があり、これは「男女でなければ私たちの交際をとやかく言われることはなかったでしょうに」というような意味だと思うのですが、それは互いに独身である恋人同士の間で使う言葉だろうかとも思います。

その一方では、

萬一お前様御一身につきて
の御苦労などおあり遊ばさば
とてもとてもお役には立間敷ながら
其片はしをも御分ちいたゞき
何事によらず共々にといふ
やうに御坐候ハゞいか斗いか斗
うれしかるべきものを

などと、まるで妻が言いそうなことも書いているわけで、一葉と桃水の関係とは一体何なのか?と思ってしまいます。

他館で行われた一葉の展覧会には何度か貸し出したことがありますので、ご覧になったことがある方もいらっしゃると思いますが、当館内ではほぼ初めての展示です。

|

« 吉川英治じゃない吉川英治記念館 | トップページ | 平家物語帖 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 吉川英治じゃない吉川英治記念館 | トップページ | 平家物語帖 »