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2007年4月30日 (月)

お通夜

振り替え休日ということで、本日は開館しております。
明日5月1日が代休となります。
ご注意ください。

さて、≪秘蔵コレクション展――吉川英治じゃない吉川英治記念館≫に話を戻します。

先日触れた「お通夜」の絵を、展示しています。

掲載誌の「衆文」には、絵とともに岩田専太郎の文章が載せられています。
転載してみます。

木挽町の文藝春秋社クラブの二階。
此処で直木さんは仕事をしてゐた。
プラトン社時代から、励み、励まされ、仕事の上でも随分親交を続けてきた直木さんは、もう、あの、霊柩に飾つてある写真以外偲ぶべくもないのだ。
宵のうちのにぎやかさは、更けるにつれてしみじみとした淋しさに変つて来る。午前五時頃である。
霊柩の前で、ひそやかに、ありし日の故人を偲んでゐるのは、木の実さん、真舘さん、それから清二氏夫人である。その横の方で、黙然とゐるのが管君だが、絵にはない。
廊下を隔てた、別の部屋では、前の晩病院でお通夜をされた二三の人が、横になつて疲れを休めてゐる。
香西君と永井君が、二人共疲れて頭がボンヤリしてきたのだらう十五分程で勝負のつくやうな将棋を何番も立てつゞけにさしてゐる。別の盤で、佐々木さんも、黙々として将棋を指してゐる。笹本君が立つて、ボンヤリ将棋を俯瞰してゐる。
『夏なら、もう明るくなるネ』と、誰かゞ言った。

絵には、「昭和九年二月二十六日午前五時頃之図」と記されています。

文中の『木の実さん』とは直木の娘、『真舘さん』は結婚の約束をしていた最後の恋人の真舘はな子、『清二氏夫人』の清二氏とは直木の弟の植村清二(直木の本名は植村宗一)です。

『管君』とあるのは誤植で、菅忠雄のことでしょう。
『香西君と永井君』は香西昇と永井龍男。
『佐々木さん』は佐々木茂索で、『笹本君』は笹本寅。

個々人が識別できるほどの詳しい絵ではありませんが、文章と合わせて見ると、雰囲気は伝わってきます。

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