« 髪の毛 | トップページ | 吉川文子追悼の夕べ »

2007年4月20日 (金)

剣の達人?

今日は辰巳柳太郎の誕生日だそうです(1905年)。

辰巳柳太郎と言えば、島田正吾と共に、若くして世を去った沢田正二郎の後を受けて、劇団・新国劇を支えた役者です。
そして、辰巳・島田が武蔵・小次郎を演じた「宮本武蔵」は、代表的演目の一つでした。

ところで、その「宮本武蔵」を書いた吉川英治は、そのために、しばしば人から「ああいう小説を書かれたのですから、剣をおやりになるんでしょう?」などと訊かれたそうです。
しかし、実際には、吉川英治は剣術も剣道もまったくやったことがありませんでした。
それでいて、多くの剣士や武道家から、武術の真髄を記したものとして「宮本武蔵」は評価されたわけですから、面白いものです。

さて、かつて、当館の館報『草思堂だより』に島田正吾さんからご寄稿いただいた文章に、こんなエピソードが紹介されていました(第3巻第3号所収「『宮本武蔵』--舞台こぼれ話」)。

「宮本武蔵」を大阪の歌舞伎座で公演中、その歌舞伎座の屋上スケートリンクで、どういう企画だったのか、剣術の試技が開かれて、巻藁の据え物斬りが行われていた。
剣術を学んでいる剣士たちが真剣で斬り込むけれど、なかなか巻き藁は斬れない。
すると、舞台の休憩時間中で、それを見ていた辰巳柳太郎は、突然「俺ひとつ試してみよう」と言って、主催者の了解を得て、これに挑戦、見事に巻藁を真っ二つにした。

辰巳・島田の両人も、吉川英治同様、「さぞかし剣道の腕も・・・・」などとよく言われたそうですが、実は、これまた吉川英治同様、2人とも剣を学んだことはなかったのだそうです。
どんなにうまく見えても、殺陣はあくまで殺陣で、剣とは別のものです。

にもかかわらず巻藁を斬れたのは、武蔵を演じているうちに身も心も武蔵になりきっていたからだろう、というわけです。

これこそ、本物の役者魂というものでしょう。

|

« 髪の毛 | トップページ | 吉川文子追悼の夕べ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 髪の毛 | トップページ | 吉川文子追悼の夕べ »