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2007年5月17日 (木)

梅の実

今年は、梅の花の咲く前の時期が暖かく、咲き始めたら急に寒くなるという変な気候で、梅の実のつきが非常に悪くなっています。
おまけに先日は強風が吹き、一昨日はひょう混じりの強い雨が降り、大量に実が落ちてしまいました。
来月に入ると、農協や、あるいは梅農家が個人で、梅酒・梅干用の青梅を売り出しますが、この分ではあまり良い実が確保できないのではないでしょうか。

ところで、梅の実というと、吉川英治がこんなことを書いています。

梅の実の落ちる音ほど、何か、素気ないものはない。雨ダレの音の方が、まだ曲がある。
梅の実は、いたずら者のマリのように、時々、梅若葉のあいだから、ぽとんと、人の心のうつろを衝く。
村の家にいると、よくそれに耳を疑うのであった。ふと、書斎の障子の外だの、また、夜半の雨戸の外などに。
(「折々の記」所収『梅の生る頃』より)

身近に梅の木がないと、梅の実が落ちる音など聞く機会はないと思いますが、確かにあれは妙に味気ない音で、うっかり屋根に落ちた実が転がっていく時の音は間抜けにすら感じます。
そして、確かに、急に落ちるので虚を衝かれます。

普段、私が館の戸締りをしているのですが、夕暮れて誰もいなくなった館の鍵をかけて、さあ帰ろう、という時に背後で、ポトンと音がすると、ビックリします。

吉川英治も、書斎で執筆をしている時に、そんな音を聞いて、ちょっとドキッとしたのではないでしょうか。

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