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2007年5月26日 (土)

北海道

「吉川英治作品紹介」の第1回は北海道。
ここから始めて南下していきたいと思います。

北海道を舞台にした作品は「函館病院」1作だけです。

時は明治二年。 函館に落ちのびた幕府軍は、西欧列強から≪蝦夷島新政府≫のお墨付きを受け、祝賀ムードの中にあった。
そんな函館へ、江戸は柳橋で芸妓をしていたお銀が、やはり柳橋で箱丁であった清七をともなって上陸する。
彼女は、芸妓時代のなじみでもある蝦夷政府総統・榎本釜次郎(武揚)と面会するや、彼らと共に五稜郭に籠城している恋人の見国鉄太郎を返してくれと迫る。
「もう日本国内で佐幕だ、勤王だと言っている時代ではない。つまらない強がりのために、自分の大事な人を犬死させられない」というお銀の言葉に沈黙する榎本。
その時、寸時の平穏を破って、再び函館に戦火が上る。
戦闘に巻き込まれたお銀は、清七ともはぐれ、成り行きから高松凌雲が営む野戦病院=函館病院に身を置くことになる。
やがて幕兵・官兵の別なく負傷者の治療にあたる凌雲の姿に感化されていくお銀。
榎本が官軍に投降して、ついに戦争は終り、野戦病院も解散となる。
お銀も凌雲らと共に函館を去ることになった。
ついに見国鉄太郎には会えぬまま、横浜へ向かう船に乗り込んだお銀が、その甲板から見たものは、落城迫る五稜郭から脱走した挙句、盗人となって処刑されようとしている見国鉄太郎、その人の姿であった。

初出は『中央公論』昭和7年2月号。
一話読切りの短編です。

一番最近の収録本は、「吉川英治幕末維新小説選集7 飢えたる彰義隊」(2000年 学陽書房刊)です。

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