« 青森(1) | トップページ | 続・横浜散歩-その1 »

2007年5月29日 (火)

青森(2)

「紅騎兵」は幕末維新に材をとった作品で、その展開にしたがって、関西から東北まで戊辰戦争に関わる土地を転々と移動していきますが、物語の開幕と終幕が八戸なので、青森ゆかりの作品とします。

江戸の旗本・溝口造酒雄は、養子となり八戸藩の藩主となった。
南部藩の支藩である八戸藩は、勤王派の南部藩に反して佐幕を唱えたため、南部本藩から差し向けられた勢力によって佐幕派は閉門、藩主の造酒雄は謹慎の身となる。
しかし、幕府御用の研師・七之助とその妹・お咲の手引きにより八戸城下を脱出、江戸へ出た彼らは幕府の警備隊の一翼・小南部隊となる。
造酒雄には幼時からの許婚で、いずれ八戸へ迎え入れる約束を交わした相手の由利操がいた。
その操は弟・由利楠太郎が勤王派となったことを苦にした父の自害によって、江戸を離れ土佐藩の親類の元へ預けられていたが、造酒雄が八戸を出て幕軍の中にいると知り、土佐を出奔、その姿を追う。
恋の一念に動かされるのみの操だが、佐幕派の造酒雄を追うが故に勤王派から敵視され、たびたび苦境に陥るところを、勤王派の中にあって彼女に同情的な香川譲の尽力によって、難を逃れる。
一方の造酒雄は操を思いながらも、幕軍の敗走と共に落ちのびる日々。
二人がついに出会うのは、皮肉にも、官軍に包囲され落城寸前の八戸城内であった。
だが、信念を持って佐幕に立ったわけではない造酒雄は、命を惜しみ、彼を恋慕するお咲と共に城を抜け出し逃亡してしまう。
裏切られ、八戸城に取り残された操を救出に来たのは、香川であった。
しかし、その行為は、かつて操への邪恋を香川に阻まれた官軍の久保田数馬に復讐の口実を与えるものだった。
避けられぬ死を前に操に恋を告白する香川とそれを受け入れる操。
真実の恋を確かめ合った二人は莞爾として死に向かうのであった。

初出は『読売新聞』昭和7年6月11日~8年1月18日に連載。
長編なので、あらすじも長くなってしまいました。

平成になってからは単行本化されておらず、一番新しいものが「吉川英治全集補巻1 井伊大老・紅騎兵」(昭和59年 講談社)になります。

|

« 青森(1) | トップページ | 続・横浜散歩-その1 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 青森(1) | トップページ | 続・横浜散歩-その1 »