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2007年6月12日 (火)

福島

宮城県を舞台にした作品として紹介した「金忠輔」ですが、作中の林子平救出作戦の舞台になるのは白河郊外の清水峠ですので、福島県ゆかりの作品でもあります。

その白河のあたりを舞台にした作品がもう1作あります。
「めぐりぞ逢わん物語」です。

源頼朝が没し、頼家が幕府を継いだ正治二年。
鎌倉武士の泉右源治は、幕府評定衆の工藤行光から密命を授けられた。
それは、奥州白河の芝田一族に謀反の噂がある、その真偽を確かめ、証拠をつかんでまいれ、というもの。
旅商人に化けて白河に入ろうとする右源治だが、白河の関所で芝田家の豪将・桐山武太夫に見咎められ、山中に逃げ込むが、急流に転落してしまう。
貧しい御簾師の母娘に救われた右源治は、しばらくそこに滞在する間に娘の幹子と心を通わせていく。
回復した右源治は、漆で顔をかぶれさせて容貌を変え、白河に潜入すると、謀反の証拠をつかみ、鎌倉へ戻る。
その報告を受けた幕府は、討伐軍を送り、芝田一族を攻め滅ぼす。
役目を終えた右源治は、恩賞の代わりに暇を請い、恩義ある母娘の元を再訪するが、戦に巻き込まれたか、元の家にはもう二人とも姿が無かった。
あてもなく二人の姿を追い求め、旅を続ける右源治だったが、ある晩、一夜の寝床を求めて入り込んだ荒れ寺で屋根裏の梁に緊縛されている幹子とついにめぐり合う。
聞けば、主家を滅ぼされ、いまや賊となりはてた桐山武太夫によって囚われていると言う。
そこへ現れた武太夫を斬り捨て、幹子を救い出した右源治は、幹子を妻として一村人となるが、その消息を探していた工藤行光の計らいで、改めて鎌倉へ迎えられるのであった。

副題に「桑楊庵一夕話に拠る」とあります。
フィクションでは架空の古文献をでっち上げることがままありますが、「桑楊庵一夕話」に関しては実在するもののようです。
私は現物を見ていないので、この物語の元ネタとなるような話が掲載されているかどうかわからないのですが。

短編ですが、初出は不明で、「修養全集7 経典名著感話集」(昭和4年 講談社)への書下ろしと推定されています。
あまり単行本化されておらず、昭和52年に復刻された「修養全集7 経典名著感話集」と、同年に出た「吉川英治文庫159 剣魔侠菩薩」の3種しかありません。

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