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2007年6月17日 (日)

入手可能な著書

もう2週間前になりますが、朝日新聞の週末版「be」に著作権についての記事が出ていました。
著作権保護期間を現在の50年から70年に延長しようという動きに対するものです。
その記事の中に、ちょっと気になる記述がありました。

記事では、今後10年で保護期間が切れる1957~66年に物故した著作者の著書が現時点でどの程度発行されているかということを、調べています。
それによると、著作物のある人物は1710人で、現在入手出来る本は2343点。
上位20人までの著書が1082点あり、実に46%を占めているのだとか。
したがって保護期間を延長してもメリットがあるのはごく一握りだ、と記事では言うわけですが、その上位20人の中に吉川英治も含まれています。

吉川英治は、江戸川乱歩の174点に次いで、148点で2位であると、記事には書かれています(ちなみに3位は谷崎潤一郎の119点で、4位の柳田国男の107点までが100点を超えている)。

ん?148点もあったっけ?

現在も刊行されている『吉川英治歴史時代文庫』が、全部で85巻ですから、この他に63点もあることになります。
どうも、そこのところに疑問を感じたので、元になった日本書籍出版協会のデータベースにアクセスして検索してみました。

確かに検索結果は148冊と出ました。

しかし、ちょっと苦笑してしまいました。

まず、同姓同名の赤の他人の著書が1点混じっています。

当館で制作して講談社から発行した「三国志紀行」全3巻と「宮本武蔵―小説を旅する」全1巻というビデオ作品や、新潮社が発行した徳川夢声の朗読CD全6巻という、書籍でないものも含まれています。

また、≪吉川英治原作≫のものが混じっています。
井上雄彦「バガボンド」が今年3月に出た25巻まで。
石森プロ「三国志」全5巻のうち現在入手可能な3巻分。
NHK大河ドラマのノベライズである鎌田敏夫「武蔵」全3巻。

まあ、赤の他人の作品以外は、著作権料の対象になるものではあるでしょうから、今回の議論の叩き台としては含めてもいいのかもしれません。
しかし、それは吉川英治の≪著作≫とは違うのではないでしょうか。

ということで以上を引くと、106点になります。

ちなみに、この中には講談社インターナショナルが刊行した「宮本武蔵」と「新書太閤記」の英語版各1巻が含まれています。
吉川英治作品の外国語版は実際には海外の出版社からもっとたくさん出ており、これはあくまでも国内販売分ということになるのでしょうが、それは何だか中途半端なので、これも省きましょう。

ということで、現在購入できる吉川英治作品(翻訳を除く)は104点になります。

もっとも、実際には入手可能であるにも関わらず、このデータベースに無いものもあります。
いずれも吉川英治記念館だけで販売しているもので、特製文庫4点(「江の島物語」「草思堂随筆」「折々の記」「川柳詩歌集」)と、企画展の内容に合わせて10年程前に私が編集して当館から発行した「続・川柳詩歌集」という小冊子1点です。
また、発行元の講談社では既に絶版となっていますが、当館にはまだ在庫があるもの(と言っても数冊)として「本伝御前試合」という作品があります。
また、吉川英明編である「いのち楽しみ給え」は、吉川英治の名言集ですから、吉川英治の≪著作≫とみなしてもいいのではないでしょうか。

これらも含めれば111点になりますが、まあ、余計ですかね。

ちなみに、電子書籍オンデマンド出版は、ここに含まれていませんが、そうした形で入手可能な吉川英治作品もあります。

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