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2007年6月10日 (日)

宮城

宮城県は、「私本太平記」に多賀城が登場したりはしますが、主たる舞台とする作品は「金忠輔」の1作。
ちなみに、タイトルは「こんちゅうすけ」と読みます。

仙台藩の林子平は「海国兵談」などの著書が幕府の不興を買い、幕府による詮議のために仙台城下から江戸表に送られることとなり、宇佐美勘兵衛・東馬の父子がその護送役となる。
道中、林子平の門弟たちが師を救い出さんと護送の一行を取り囲む。
その緊迫した場にしゃしゃり出てきたのは、わずか四十石扶持の軽輩ながら、藩では知らぬ者のない名物男の金忠輔。
能弁で≪法螺金≫の異名を持つ忠輔の機転で、見事、その場を切り抜けるが、面目を潰された宇佐美父子は面白くない。
わけても息子の東馬は、自分が惚れている茶屋の娘・お京が、この活躍を見て忠輔にぞっこんになってしまったので、すっかり忠輔に恨みを抱いている。
しかも、この越権行為が咎められるどころか、かえってその奇人ぶりを藩主に気に入られて、忠輔は出世までしてしまう。
しかし、日本の明日に思いをいたし、男子の志をどこへ向けるべきかを思案する忠輔にとっては、城勤めなど退屈なばかりだし、お京の恋慕も東馬の邪念もまるで意識の外だ。
とうとう脱藩して全国遊学に走ってしまう始末。
その旅の最中、江戸は東叡山の火災で伊達家の大名火消しを助けたことをきっかけに、脱藩を許されたばかりか、むしろ強引に帰藩させられてしまう忠輔。
忠輔が目障りな宇佐美父子は、藩主の前での御前試合にかこつけて忠輔を亡き者にしようとするが、逆に東馬は忠輔に敗れてしまう。
やけになった東馬はお京を拉致して脱藩しようとするが、間一髪駆けつけた忠輔は東馬とその仲間を切り捨てて、お京を救い出す。
そして、「蝦夷へ渡って露西亜を相手に喧嘩をする」と宣言して、そのままの足で蝦夷へ出航しようとする。
その忠輔を呼びとめる声。
かつて卑劣な東馬による闇討を受けた際に怪我の手当てをしてくれた曾根三右衛門が連れて来たのは、その時に懇意になった三右衛門の娘・お浜が生んだ忠輔の子であった。

初出は『冨士』昭和5年4月号~12月号。

活字の小さい昔の文庫本にして1冊の半分くらいの短い作品です。
その割には、明確なストーリーがないので、あらすじがまとめ難い作品ですね。

平成になってからは単行本化されておらず、一番新しいものが「吉川英治全集6 貝殻一平・金忠輔」(昭和58年 講談社)になります。

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