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2007年6月13日 (水)

山形(1)

東北で最後にご紹介するのは山形県。

ここまで見てきたように東北を舞台にする作品はあまり多くありませんが、山形に関しては3作品あります。
ただし、どれも短編です。

まずは、「林崎甚助」をご紹介。

甚助は、母親の喜ぶ顔見たさに訓読や剣の修行にいそしむ少年。
だが、ある時、戦死したと聞かされていた父親が、実は坂上主膳の闇討ちで死んだことを知り、衝撃を受ける。
元服した甚助は、旅に出て、武者修行をすると共に、父の仇・坂上主膳の消息を尋ねて歩く。
一旦帰郷した甚助は、主膳の消息をつかんだこと、自分の今の腕では主膳を倒すには力が足りないことを母に報告すると、林崎神社に百日間参籠する。
参籠を終えた甚助は、口ではうまく表現できないながら何かをつかみ、今度は主膳にまみえるつもりであると母に告げ、再度旅に出る。
その途上、茨組と称する浪人者たちが木賃宿を荒らしているのに出くわし、これを斬り捨てるが、そこで自らの修行の成果を確信する。
そして主膳を倒し、父の仇を討つ。
甚助の母は、しかし、我子が宿願を果たしたことを聞いて程なく病の床につき、世を去った。

林崎甚助重信は、現在の山形県村山市出身で、居合い、抜刀術の開祖とされる人物です。
林崎神社への参籠も、仇討ちもその事跡として伝えられるものです。

ただ、この小説は、仇討ちの物語ではなく(坂上主膳との対決の場面自体がありません)、その修行の様子と母親との関係性を描いたもので、正直なところ、それほど面白い小説とは言えません。

初出は『講談倶楽部』昭和15年1月号。

最新のものは「吉川英治全集28 源頼朝・剣の四君子」(昭和57年 講談社)になります。

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