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2007年6月15日 (金)

山形(3)

最後は「無宿人国記」。

元米沢藩士の清水一角は、お里という女に入れあげた挙句、脱藩して二人で江戸まで流れてきたが、ゆすり、辻斬り、賭場荒らしと悪行を重ねる一角に愛想をつかしたお里の心変わりに腹を立て、これを斬り捨ててしまう。
町方に追われる一角を匿ったのは、偶然にも米沢藩上杉家の国家老の千坂兵部。
兵部は、凶状持ちの浪人になりさがった一角に意外なことを依頼する。
世間では赤穂の浪士が吉良上野介を討つとの噂が絶えない、藩主の綱憲は上野介を守りたいが、藩として表立ってはできない、そこでお前を含め米沢藩士のうちで腕の立つものを一時的に脱藩させて、浪人として上野介警護にあたらせたい、と言うのだ。
一角は、しぶしぶながら兵部の命を受けて米沢に戻ると、兵部が指定した青砥弥助と涌井半太夫を仲間に引き入れる。
もう一人、兵部が指定したのは木村丈八郎だったが、実は丈八郎はあのお里の弟であった。
お里を斬ったことは隠して丈八郎を説得する一角だったが、堅物の丈八郎は兵部の秘策を拒絶。そのため、一角は口封じに丈八郎を斬ろうとするが、失敗して江戸へと逃走する。
この騒動であらぬ汚名を着せられた丈八郎は、一角がお里を斬ったことを知り、身の潔白と仇討ちのため一角の後を追う。
江戸の町で一角に追いついた丈八郎であったが、斬り合いを始めたところを兵部らに見つけられ、止められてしまう。
結局、兵部に説き伏せられた丈八郎は一角と共に吉良邸に警護のために住み込むことになった。
そして、赤穂浪士討入りの日。
その乱戦の最中、一角は丈八郎に、お前の手で俺を斬ってくれと頼むのであった。

つまりは≪忠臣蔵外伝≫ですね。
もっとも、一角は「清水一学」が正しく、しかも初めから吉良家の家臣だったようですから、完全にフィクションですが。

初出は『中央公論夏季増刊 大衆雑誌』(昭和7年6月発行)。

単行本では、現在刊行中の「吉川英治歴史時代文庫75 治郎吉格子 名作短編集(一)」に収録されており、すぐに読むことが出来ます。

070704追記

平成に入って出版されたものにはこの他に「吉川英治時代小説傑作選 さむらい行儀・無宿人国記」(平成15年3月 学研M文庫)もあります。

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