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2007年7月10日 (火)

熊本(2)

続いては、この作品。

「母恋鳥」

熊本の小藩・相良家では、前藩主が亡くなり、その子の相良小金吾が次期藩主となる予定であった。
しかし、この小金吾、とても今年十四とは思えぬ馬鹿者。
それもそのはず、家老の立花権左衛門が、藩の実権を握るため、馬鹿になるよう、わがまま放題に遊びほうけさせてきたからだ。
そんなある日、裏山から聞こえる琵琶の音に耳をとめた小金吾が、家臣に命じて弾き手を捕らえさせると、それは同じ年頃の鈴丸という小法師であった。
鈴丸の正体は、忠臣ゆえに城を追われた元藩士・坂本大弐の遺児・鈴子。
鈴丸の琵琶に小金吾が感化されることを恐れた権左衛門によって城から追い出される鈴丸であったが、秘かに小金吾の母・桔梗が存命であることを伝え、ある策を授ける。
正式に藩主となるため、将軍へのお目見えに江戸へ上る相良家の行列。
だが、そのどさくさにまぎれて、鈴子の策通り小金吾が姿を隠す。
慌てた権左衛門らは、小金吾は病と偽って行列を続けながら、一方で権左衛門の息子・立花造酒太郎らに小金吾を探させる。
造酒太郎らに追われながら、桔梗が住む京都へたどり着いた小金吾と鈴子。
鈴子の琵琶の師である藤原種風、やはり忠臣ゆえに浪人となった元藩士の泉大助の助けもあり、ことは京都所司代の板倉若狭守の知るところとなる。
その板倉の策で、あえて藩の行列に戻る小金吾。
そして、藩主承認のため江戸城に登城した小金吾は、将軍家光の前で悪臣を除くことを宣言、すかさず板倉若狭守は随伴してきた立花権左衛門を召し取るのであった。
やがて、江戸から相良へと戻る行列には、藩主となった小金吾を護る泉大助、そして母・桔梗と鈴子の姿があった。

初出は『主婦之友』昭和12年8月号~13年8月号。
タイトル通り、雑誌は主婦向けのはずですが、しかし、文体などは明らかに子供を対象としたもので、少年少女小説のひとつとするのが妥当な作品です。
母親が子供に読み聞かせる、というような状況を想定したのでしょうか?

「吉川英治文庫153 やまどり文庫・母恋鳥」(昭和52年 講談社)が、単行本としては一番新しいものとなります。

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