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2007年9月12日 (水)

福岡(2)

もう1作は「筑後川」。

安政の大獄の難を逃れた京都清水寺の勤王僧・月照は、薩摩の西郷吉之助の助力で薩摩へと落ち延びようとしていた。
その彼を追って、京都町奉行・小笠原長門守配下の中座者である甚太は太宰府までやって来ていた。
甚太は黒田藩の手を借りて、月照が隠れている駕籠屋の虎五郎の家を襲うが、一足違いで逃げられてしまう。
その虎五郎の家に残されていたのは、女房のお浜。
元はと言えば久留米の者である甚太とは恋仲だった女である。
甚太が故郷を捨てた後、虎五郎に無理やり女房にされたのがお浜であった。
懐かしい男の出現に、お浜は虎五郎との間にもうけた子も捨てて甚太に取り縋る。
お浜の口から、月照一行の逃走経路を聞き出した甚太は、事が成就したら一緒に京へ出る約束をして、追跡を続ける。
久留米で旧知の船頭・伝助に出会った甚太は、彼を仲間に引き入れると、柳河から船で薩摩へ向かおうとする一行に追いつくが、黒田藩の捕り手が出港に間に合いそうもない。
やむなく、甚太と伝助は船頭の中に紛れ込んだうえで、お浜を使って同行している虎五郎と警護の武士・平野二郎を船から引き離し、その隙に月照を捕らえようともくろむ。
しかし、虎五郎がつれていた我が子に情を移したお浜の挙動から策は破れ、ついに甚太は斬られてしまう。
月照の乗った船は出港し、浜に残されたのは虎五郎と我が子に乳をやるお浜だけであった。

初出は『オール読物』昭和8年1月号。

単行本は「吉川英治文庫127 退屈兵学者(短編集三)」(昭和51年 講談社)が最新になります。

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