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2007年9月 9日 (日)

トマト

≪吉川英治の意匠≫展では、吉川英治が焼物に絵や文字を入れたものをいくつか展示しています。

親交のあった河合卯之助のような本職の陶芸家がろくろをひいた茶碗に染筆した資料もありますが、今回は楽焼の茶碗を出しています。

それを見た吉川英明館長が、「これも出したの?」と言って指差したのが、そんな楽焼茶碗のひとつ。
茶碗の内外に柿を描き、その間を埋めるように

師の坊は今日も留守らし柿の菴

という句を書き込んだものです。

いやぁ、親父が一時期、軽井沢で楽焼に凝ってね。
よく香屋子を連れて行っていたんだよ。
これもその時のものだけど、これが焼きあがった時にね、先に見た香屋子が「美味しそうなトマト!」なんて大声で言ったもんだから、親父が「んっ・・・」って、何とも言えない顔をしてねぇ。

とは館長の言葉。

素地が粗い楽焼では微妙な形は描けませんし、しかも焼物は色の調整が難しいので、この茶碗の柿は、柿の色というにはちょっと赤すぎるとは思いますが、愛娘に≪トマト≫呼ばわりされて、さぞがっかりしたでしょう。

しかし、その≪何とも言えない顔≫というやつを、一度見てみたい気がします。

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