« 近代文学の至宝 | トップページ | 営業再開 »

2007年9月28日 (金)

一人さびしき

いま、不名誉なことで話題になっている大相撲の時津風部屋は、かの大横綱・双葉山に始まる部屋だそうですね。

その双葉山について、吉川英治は『勝負師の涙』という随筆で、こんなことを書いています。

戦前の双葉山全盛時代に、ひいき筋の人間が設けた席に吉川英治も招かれ、宴席を共にしたことがあるそうです。
席上、双葉山に対して出席者で寄書きをしようということになって、自分の順番がまわってきた時、吉川英治は即興でこんな句を書いたといいます。

江戸中で一人さびしき勝相撲

皆、「淋しい」という語感にヘンな顔をしたが、双葉山だけは英治の眼を見て黙礼をしたのだそうです。

私は、別に勝負師でも何でもありませんが、無敵であることの孤独をよく掴んだ句だと思います。

ところで、私は不勉強で、双葉山の著書など相撲関係の本には目を通していないのですが、双葉山が吉川英治から受けたアドバイスというか、忠告のような言葉が、伝わっているようです。

人気とは、低いところから、落とせば欠けないものを、勝手に高いところまで持ち上げて落とすのが特質だ

という言葉がネット上に流れています。

これについてですが、同様のことを『虚名と人気』という随筆に書いています。

人気というものは、低気圧のようなものでまるであてにならないものだ。第三者として見物している分にはあるいは面白いかも知れない。その反面、人気に乗せられたために、自分で自分の方向がわからなくなり、一生を誤ってしまうことになった天才的な人がいくらもいる。気の毒なことだ。持ちあげても、二尺か三尺のところで落としてくれればまだいい、それならば怪我をせずにすむのだが、当人の思惑も考えずにワッショイ、ワッショイと天井までかつぎあげておいて、いきなりドスーンと落としてしまう。人気というものはそういういたずらものである。

なんだか朝青龍問題を思い浮かべてしまう文章です。

まあ、最近のマスメディアは落とした上にさらに踏みつけている感じもしてしまいますが。

|

« 近代文学の至宝 | トップページ | 営業再開 »

コメント

@niftyトップページ「旬の話題ブログ」コーナーにて、
9/28に本ページの記事を紹介させて頂きました。
紹介記事については、「旬の話題ブログ」バックナンバーで
半年間、ご覧いただけます。

>人気とは、低いところから、落とせば欠けないものを、
>勝手に高いところまで持ち上げて落とすのが特質だ

この言葉は、相撲や芸能界だけでなく、一般社会や会社組織においても当てはまりますね。どんなに有名になったり、高い地位について、周りからチヤホヤされたとしても、自分のビジョンや本質を見失うことなく、地に足をつけて生きなさい、という教訓なのかな、と思いました。
とても気づきのある内容の記事を、ありがとうございます!

今後も旬な話題の記事を楽しみにしておりますので、
引き続き@niftyをご愛顧の程、よろしくお願い致します。
ありがとうございました。

        @nifty「旬の話題ブログ」スタッフ

投稿: 「旬の話題ブログ」スタッフ | 2007年10月 1日 (月) 11時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 近代文学の至宝 | トップページ | 営業再開 »