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2008年1月11日 (金)

基本図書

昨日、コメント欄に、吉川英治が「我以外皆我師」という言葉を残した経緯や考え方を学びたいという書き込みがありました。

それには吉川英治の人生観を知っていただくのが一番です。
そこで、コメント欄には、そのために必要な基本図書を数冊、とりあえず名前を挙げておきましたが、せっかくなのでこの機会にもう少し詳しくご紹介しておこうと思います。

「忘れ残りの記」

何度もこのブログで取り上げている吉川英治の自叙伝です。
吉川英治の考え方の背後にある人生経験を知る、もっとも基本的なものです。
ただし、大正10年に母親が亡くなるまでのことしか書かれていませんので、人生全体を見ることは出来ません。
30歳までの≪青春記≫というべきものです。

現在でも吉川英治歴史時代文庫の第77巻として講談社から刊行されています。

「伝記吉川英治」(尾崎秀樹 昭和45年 講談社)

著者は、先年亡くなられた大衆文学研究の開拓者です。
吉川英治の最初の本格的伝記で、当時まだ存命だった多くの関係者から聞き取った様々なことが記録されています。
ただ、序章を除いて14章あるうちの12章までが昭和20年以前の戦前の記述に費やされており、戦後についてはやや手薄な感じを受けます。

なお、著者には「吉川英治 人と文学」(昭和56年 新有堂)という作品論集もあります。

「人間吉川英治」(松本昭)

著者は吉川英治が毎日新聞紙上に「私本太平記」を連載していた当時の担当編集者。
これも吉川英治の伝記ですが、「伝記吉川英治」が紙幅を割いた少年時代は、重複を避けるように簡略に描き、逆に戦後については自身の直接的な経験を踏まえて丁寧に描いています。
その意味では、この2冊は補完的なものですので、両方読むことをお薦めします。

元々は「吉川英治 人と作品」というタイトルで昭和59年に刊行されたものを改題したもの。
何度か刊行されており、平成12年に学陽書房から出たものが最新のはずです。
おそらくまだ購入できると思います。

「父吉川英治」(吉川英明)

著者は吉川英治の長男で、当館館長。
家族から見た吉川英治の姿を描いたものですが、著者本人の年齢的な制限もあり、主に吉野村時代(現在記念館のある青梅に住んでいた時代)以降の戦後のことが中心になっています。

これも何度か刊行されていますが、平成15年に学研から出たものが最新になります。
また、講談社のオンデマンド出版のラインアップにも入っています。
購入可能です。

著者にはこの他、やはり家族から見た吉川英治像を描いた「吉川英治の世界」(昭和59年 講談社文庫)や、吉川英治の名言を集めた「いのち楽しみ給え 吉川英治人生の言葉」(平成14年 講談社)もあります。

「吉川英治 下駄の鳴る音」(大野風太郎 平成9年 葉文館出版)

著者は川柳家。
吉川英治は青年時代に川柳家・雉子郎として活躍しましたが、その時代に交流をもった川柳の仲間たちとの関わりが詳しく記述された評伝です。

「新潮日本文学アルバム29 吉川英治」(昭和60年 新潮社)

吉川英治の文学アルバムは講談社からも昭和48年に出ていますが、こちらの方がコンパクトで、参照しやすいと思います。

このあたりの書籍をお読みいただくと、吉川英治の人生の流れが理解でき、おのずと「我以外皆我師」という言葉を座右の銘とした意味が見えてくると思います。

ご一読下さい。

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