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2008年2月15日 (金)

絵型

挿絵画家は、作家が書いた原稿をもとに、それに相応しき絵を描きます。

もとになる原稿が仕上がらなければ、画家の方はお手上げです。

吉川英治も、書き出せば筆は早かったそうですが、その書き出しがつかずに原稿が大幅に遅れることがままあったようです。

そんな引け目があるのか、伊藤彦造に対して

貴下は生真面目過ぎる。三枚描くときは一枚だけに力を入れて、あとの二枚は手をはぶくんですよ。そうしないとからだをつぶしますよ・・・

などと言っていたそうです。

なんだか、小田富弥を不誠実だと憤慨していた同じ人の台詞とは思えないですね。

それはともかく、原稿がどうしても遅れてしまう時には、このような場面を書くのでこんな挿絵を描いて下さい、という指示書を先に画家に出すことがあります。

これが絵型です。

「吉川作品の挿絵・装丁画の世界」展では、参考資料としてそんな絵型も数種類展示しています。

例えば、「黒田如水」(『週刊朝日』昭和18年1月3・10日号~8月15日号)の絵型にはこうあります(改行位置は変えています)。

黒田如水第三十回絵がた
山深き中国陣
丸木組の山小屋に等しき陣屋ノ一室
月光廂より映して室の中央ニ病臥せる竹中半兵衛
枕頭の左右ニ秀吉官兵衛の二人
共ニ愁然と重態ノ半兵衛を見まもって座す

場面は竹中半兵衛の最後の戦場となった三木城攻め。
そこでの秀吉・竹中半兵衛・黒田官兵衛の三者を描いた挿絵を求めているわけですね。

ちょうど、この回の掲載された『週刊朝日』(8月1日号)を所蔵しているので、横に並べて展示しています。

掲載されている挿絵は、絵型の指示とは少し違います。
そのあたりが画家の工夫なのでしょう。

ちなみに、挿絵画家は江崎孝坪。

実際の挿絵がどういうものであるかは、ぜひご来館の上(笑)、ご自分の目でご確認下さい。

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