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2008年7月 5日 (土)

夕焼け

私は雲を眺めるのが好きですが、夕べの雲はすごかったですね。

積乱雲のモクモクとしたコブが、夕日で赤く染まり、その一方で、雲の中では夕立を予感させるように、稲光が絶え間なく輝く。

心の奥底で何かがザワザワするような、そんな雲でした。

思わず見とれているうちに、吉川英治のこんな川柳を思い出しました。

気が違ふほど夕焼けぬ夕焼けぬ

≪雉子郎≫を名乗って、川柳の世界で活躍していた10代後半から20代の頃の吉川英治には、こういった、幻想的というか、心象的というか、そういったちょっと一般的な川柳の滑稽味や人情味とは違うタイプの川柳作品があります。

この夕焼けの句は、私の特に好きなものですが、他にも色々ありますので、少しご紹介してみます。

うなさるる昼の枕に蜘蛛が這ふ

滅亡の地球に残る蝶一つ

龍宮に夕映えのする鯨の血

美しき海月の中の水死人

春の日に向ひ手品師針を吹き

蟻の世界ガリバーのやうに見て居たり

炎々の空にサタンの舞ふを見よ

雲の峰崩れて富士を呑まんとす

森に寝る二ツの夢を蜘蛛が巻く

いかがでしょう。
若気の至りという感じもしなくはないですが、明治末から大正初めに詠まれたものと思うと、それまでの川柳の枠にはまらないセンスを感じさせます。
井上剣花坊が、雉子郎に対して川柳の次代を担う者として期待した理由の一端が理解できます。

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