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2008年12月 7日 (日)

四十歳

師走に入ったので、展示を少し入替えました。
≪年末年始仕様≫ということで、吉川英治が出したあるいは受け取った年賀状を数点展示しています。

当館で所蔵している吉川英治が出した年賀状を見る限り、吉川英治の年賀状は印刷のものばかりです。
古いもので昭和4年、新しいもので昭和36年までありますが、一貫して印刷です。
おまけに宛名が吉川英治の筆跡ではないものもあります。
また、大半が絵柄もなく、一行だけ年賀のあいさつ文が入っているだけです。
例えば、昭和4年のものならば

昭和四年の御多祥を祈り上候

としか書かれていません。
自筆で文章を添えるなどということも無し。
あっけないものです。

吉川英治は筆まめな方だと思うのですが、年賀状にはあまり重きをおいていなかったのでしょうか。

そんな中、印刷ではありながら、例外的に長い文章が書かれたものがあります。
昭和6年の年賀状です。

古人四十不惑といふ
僕三十九を送つて
漸く初惑をおぼえます
真のまどひを感じます
古人なんぞ大成のはやき
僕なんぞ遅々として稚気
年を迎へて自恥にたえません
切に辱知の御鞭撻を乞ひます
   ×
水仙に戯作の恥を思ふ朝

文面からわかる通り、40歳を迎える年の年賀状です。
ちなみに、吉川英治は自分の年齢を数えで認識していましたから40歳ということになりますが、満年齢で言えば、昭和6年正月時点ではまだ38歳ということになります。

それはともかく、吉川英治は40歳という年齢を、人生のひとつの区切りとして強く意識していたのでしょう。

まあ、この時期、家庭内に問題を抱えていて、そのせいで特に自省的になっていたという側面はあるのでしょうが。

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