« 梅と桜 | トップページ | 牡丹の焚火 »

2009年3月25日 (水)

富山(1)

先日、企画展「吉川英治と花」では、花の登場する名場面を4場面紹介していると書きました。
そのうち3場面はそこで触れましたが、残りの一場面は「宮本武蔵」の『芍薬の使者』という場面です。
ただ、それは以前ご紹介しているので、ここでは触れません。

展示の中で、花にかかわる作品として、もう1作品ご紹介しています。
それをここで「作品紹介」を兼ねて、触れておきます。

江戸と富山が主たる舞台なので、ここでは富山にゆかりの作品として取り上げます。

「牡丹焚火」

武士をやめ、葛飾の在で牡丹園を営む六兵衛には、重蔵とお筆という二人の子があったが、兄の重蔵は女におぼれて家を飛び出していた。
その重蔵が残した借財をたてに、味噌屋の息子・傘亭が、お筆を嫁にと迫る。
そのお筆は、年に一度、お茶席用に牡丹の薪を貰い受けに来る富山藩士・鯖江洪太郎に秘かな思いを寄せていた。
しかし、洪太郎には、藩の将来のため、果さねばならない使命があった。
それは家老・飯田兵部の意を受けて、藩主・前田出雲守をたぶらかす妖婦、辰巳芸者上がりのお秀の方を討つ事。
だが、その決行の日、彼に代わってお秀を討ったのは、芸者時代のお秀におぼれた挙句に捨てられた重蔵であった。
お筆にすがりつかれたばかりに役目を果たし損ねた洪太郎は、お筆と心中して果てようとするが、傘亭らに見つかり、止められる。
後日、洪太郎とお筆は牡丹園を継ぎ、重蔵は罪を許されて富山城の庭方となり、傘亭は俳人として旅の空にあった。

『週刊朝日』昭和11年初夏特別号掲載の短編小説です。

花がメインとは言い難いので、やや強引ですが、取り上げてみました。

最新の単行本は「吉川英治時代小説傑作選 さむらい行儀 無宿人国記」(学研M文庫 平成15年3月18日)になります。

|

« 梅と桜 | トップページ | 牡丹の焚火 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 梅と桜 | トップページ | 牡丹の焚火 »