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2009年5月22日 (金)

お代は見ての・・・

私にとって、来館者の方との会話で、いつも心に引っかかるのは、こんなやりとりです。

「入館料、いくら?」
「500円です」
「500円! 高いなぁ! ……あ、割引券もらってきたんだ。いくら割り引いてくれるの?」
「500円が400円になります」
「なんだ、たった100円か!」

私が勤め始めた20年近く前から、こういうことをおっしゃる方はいらっしゃいました。
しかし、その当時に比べて入館者数が5分の1にまで激減してしまった現在、それと同じ比率でこういうことをおっしゃる方も5分の1に減ったかと言えば、むしろ増えているような気がします。
それだけ、価格にシビアな人が増えたということなのでしょう。

ただ、見学し終わった後に「これで500円?」とおっしゃるのなら、二度とそんなことを言われないように努力しようと思えるのですが、入口の段階でこう言われてしまうと、ちょっと考え込んでしまいます。
中には、入館料だけ聞いて、「高い」と言い残して入らずに帰ってしまわれる方もいて、そんな時は、ガックリと落ち込んでしまいます。

さて、昨日、日本博物館協会から「日本の博物館総合調査研究報告書」なるものが送られてきました。
当館も回答した平成20年度の『博物館総合調査』のアンケートの結果をまとめたものです。

アンケートの中には入館料の項目もあります。

それによると、常設展示の入館料を無料にしている館が29.1%。
ここには、特別展は有料にしている館も含まれていますが、それでも、およそ3割がタダで展示を見られるということになります。

また、有料にしている館の入館料の平均が390.6円。
なんと、前回調査の平成16年の402.0円より下っています。

しかも、実はカテゴリー別に見ると、平均値を上げているのは水族館(平均1085.8円)、動物園(725.5円)、それらを複合した動水植物園(828.9円)で、当館の含まれる歴史系博物館のカテゴリーでは、平均値は305.8円なのです。

当館の入館料500円は、確かにこう見ると高い部類に入ってしまいます。

一般の方々にとって、水族館や動物園は、むしろテーマパークと同じジャンルとみなされているのではないでしょうか。
少なくとも文学館とは完全に別物と意識されているでしょう。

水族館の平均の半額以下だから入館料が安い、と思う人はいないでしょうね。

ただ、設置主体別に見た場合、市立(294.1円)、町村立(294.2円)が安く、都道府県立(376.5円)、国立(432.6円)、公益法人(543.0円)、会社個人等(803.5円)で、≪官低民高≫となっています。

民間の財団法人が設置している当館は、同じ設置主体の中では平均以下ということになります。

ここで、来館者の方の立場になってみると、「吉川英治記念館は随分昔からあるし、規模も結構大きいから、多分青梅市か東京都が運営しているのであろう、だったら税金を使ってるはずなのに、入館料を500円も取るんじゃ高いじゃないか」というような考えが頭に浮かんでくるのかもしれません。
実際、「ここは青梅市がやってるんでしょ?」とお尋ねになる方は少なくありませんから。

しかし、まあ、事情はあくまでも内輪のもの。

一般来館者の方に、そこまで忖度してくれとはとても言えません(と言いつつ、こんなことを書いていますが)。

私に出来ることは、入館した方に、「500円は高くなかった」と感じていただけるように工夫をしていくことだけです。

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コメント

吉川英治記念館の入場料500円が高いと思われる昨今ですか。僕は貴館をお訪ねしたことはありませんが、一度は伺いたい記念館です。僕は昭和38年生まれですから、英治没後の英治ファンです。小学5、6生のころ、当時テレビ放映されていた『宮本武蔵』(確か昔の市川海老蔵さん、今の團十郎がやっていましたよね。)を視て、原作を読みはじめました。当時講談社から出ていた文庫は新聞連載時の挿絵も載っていた本でした。『新平家物語』や『鳴門秘帖』、『親鸞』『私本太平記』、『新書太閤記』・・・僕が本好きになったのは英治文学の洗礼を受けたからです。小学校の卒業文集にも将来の夢に「小説家」と記したのも英治への憧れがあったからこそでしょう。(僕の現在の職業は医療事務員ですが...)僕にとって歴史文学といえば、やはり吉川英治が一番。次が海音寺潮五郎。(最近入職してきた若い人は司馬遼太郎は知っていても、英治や潮五郎は知りません。)英治が描く主人公(ヒーロー)は“求道者”なんですよね。英治の文学が伝統的な保守主義や戦争協力の色彩を拭い切れない性格を指摘はできると思いますが、読者を求道者にする力を持っているのも確かです。

投稿: 山田英樹 | 2009年5月26日 (火) 00時38分

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