« 文学とマンガと | トップページ | 井伊直弼の首は落ちたか――その1 »

2009年5月27日 (水)

栗本薫さん

作家の栗本薫さんが昨夜お亡くなりになったそうです。

私などは、≪中島梓≫としてテレビのクイズ番組に出ておられた姿の方が印象に残っています。

すぐに思い浮かぶ代表作は「グインサーガ」ということになるのでしょうが、実は昭和56年に「絃の聖域」で第2回吉川英治文学新人賞を受賞なさっています(ちなみに、「闇と影の百年戦争」の南原幹雄氏と同時受賞)。

当館との関係で言えば、平成4年10月17日、有楽町マリオンで開催していた展覧会「生誕百年記念 吉川英治の世界」の特別イベントとして行われた公開座談会に、パネラーとしてご参加いただいています(司会:鈴木健二、出席は他に伊集院静、北方謙三、松本昭、吉川英明)。

その際に、栗本さんは、多くの吉川作品を愛読したことをお話しになった他、その影響の一つとしてこんなことを話されました。

吉川英治の作品からは、実際の作品には書かれていない物語のうしろ側の生活が感じられる。その具体例が「新・平家物語」における麻鳥夫妻の存在だ。彼らが存在することで、歴史の主人公たちの起こす様々な事件の下にある庶民の姿が浮かびあがる。自分も、「グインサーガ」の中に庶民である居酒屋一家を登場させるという形で、この手法を取り入れている。

栗本さんと言えば「グインサーガ」の長さと同時に、多作でも有名だと思いますが、この座談会の時にも、パソコンで執筆しているということに触れ、「手で書いていては思考の速度に追いつかない、ブラインドでキーボードを叩く方が早くて、思考がそのまま流れ出てくるのでちょうど良い」というようなことを話されていた記憶があります。

享年56歳では、さぞ書き足りなかったことだろうと思います。

ご冥福をお祈りいたします。

|

« 文学とマンガと | トップページ | 井伊直弼の首は落ちたか――その1 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 文学とマンガと | トップページ | 井伊直弼の首は落ちたか――その1 »