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2009年7月 3日 (金)

紹介状

企画展「書簡に見る吉川英治の交遊」ですが、明後日の5日(日)までが第一部ということで、そこで書簡を入れ替えます。
その前に、あと少し、第一部の分のご紹介を。

内容が似たようなものなので、2通まとめてご紹介します。

1通は吉川英治宛佐々木味津三書簡(年不詳6月17日付)。
もう1通は吉川英治宛田中貢太郎書簡(昭和9年12月1日付)。

佐々木味津三は人気のあった大衆作家ですが、昭和9年に37歳で世を去っていますので、名前だけ紹介するとピンと来ない方も多いかもしれません。
しかし、その作品は映画やテレビで映像化され、人気を博しましたから、そちらの名を出せば、知らない人の方が少ないでしょう。
その代表作は≪むっつり右門≫の「右門捕物帳」、≪天下御免の向こう傷≫の「旗本退屈男」です。

一方の田中貢太郎も作家です。
昭和16年に亡くなっていますが、怪異譚を中心に今でも著作が出版されています。
今世紀に入っても、学研M文庫で怪談のシリーズが出ていましたが、いま確認すると、絶版の模様。
学研は絶版にするのが早いなぁ(苦笑)

さて、この二人の書簡の内容が似ているというのは、要はどちらも紹介状なのです。

佐々木の方は、どうやら古美術商と思われる人物に持参させたもののようで、そのために消印がありません。
文章をみると、自分や≪白井≫もこの人物から品物を買っているので、あなたもどうか、というような内容になっています。
この≪白井≫というのは、やはり大衆作家の白井喬二のことなのでしょう。

田中の方は、自分の友人を紹介し、その著書を購入してくれるよう依頼しているもの。
その友人というのは≪安岡重雄≫と手紙には書かれています。
調べてみると、海援隊士の安岡金馬の子で、晩年のおりょう(坂本龍馬夫人)にインタビューした人物が安岡重雄というらしいのですが、同一人物でしょうか?
田中は土佐の出身なので、可能性は高いように思えます。

ちなみに、その時、売り込もうとした本は「日本孝子伝」というタイトルのようですが、現在当館で所蔵している吉川英治の旧蔵書の中には見当りませんので、買ったかどうかはわかりません。

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