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2010年7月 3日 (土)

酒の随筆

現在、「吉川英治の酒と食」という企画展を開催しています。

吉川英治には酒について書いた随筆がいくつかあり、そのうちの3点の原稿を所蔵していますので、それを展示しています。

これらの原稿は、常設展示でも時々展示するのですが、そうすると、「あの展示してある随筆の全文を読んでみたいのだが、どの本に掲載されているのか」と、窓口の人間に質問なさる方が、少なからずいらっしゃいます。

ほかの随筆原稿を展示していても、あまりそういうことはありません。
その点からすると、どうやら、酒を飲む人間というのは、常に酒についての一家言、というか、言い訳(笑)に使える“名言”というものを求めているものなのかも知れません。

さて、ところが、困ったことに、この原稿を所蔵している酒の随筆というのが、あまり手に入りにくいものばかりなのです。

3つのうちいちばん古い「酒に学ぶ」という随筆は、初出が『青年太陽』昭和11年1月号で、収録図書は「現代青年道」(新英社 昭和11年7月20日)と「折々の記」(全国書房 昭和17年5月10日)のみで、戦後は一度も活字になっていません。

ちなみに、「折々の記」というタイトルの随筆集は戦後にも出版されていて、現在も当館でのみ販売していますが、中身はまったくの別物です。

「酒つれづれ草」という随筆は、初出が『日の出』昭和13年7月号です。
こちらは、戦後に刊行された随筆集にも収録されていて、最新のものは「随筆私本太平記」新装版(六興出版 平成2年10月25日)ですが、それでももう20年前になります。

もう1点の「舌を洗ふ」は、初出は『小説公園』昭和30年新春特別号ですが、単行本には未収録です。

実は、「舌を洗ふ」というタイトルは同じで内容が異なる随筆が別にあり、それは現在当館のみで販売している随筆集「草思堂随筆」に収録されているのですが、こちらはなぜか未収録のままなのです。

というわけで、この3点の随筆を読んでいただけるように、今回の企画展の会場にそのコピーを置いてあります。

随筆の中身に興味のある飲ン兵衛の方は、ぜひ、お運び下さい。

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