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2010年9月29日 (水)

吉川英治の家めぐり(15)

さて、吉野村の家そのものについてみてみます。

この屋敷については、先年、東京都教育委員会の東京都近代和風建築総合調査の対象となり、調査が行われ、それが「東京都の近代和風建築」(東京都教育委員会 平成21年3月)という冊子になっていますので、ご興味のある方はそちらもご参照下さい。

その調査の際、吉川英治が生活した母屋の建物の建築は明治に入ってからであろうと指摘されました。
私たちは、同じ敷地内の蔵にある棟札に弘化四年(1847)とあることから、母屋もそれに近い時期と考えていたのですが、青梅・奥多摩地区で、江戸時代にはこれほど大規模な住宅はなく、こうしたものが建てられるようになるのは明治に入ってからなのだそうです。
それでも築140年ほどになります。

建物の内部には吉川英治によって改造された部分がいくつかあります。

大きな改変は、玄関を入ると、玄関から右手側にかけて家の内部3分の1くらいが土間であったものを、床をつけて台所と応接間を作ったこと。
かまどのあった部分は現代的な台所にし、応接間の場所には、元々五右衛門風呂があったものを、別の場所に風呂場を設けています。

また、台所脇に新たな勝手口を作り、その先の吉野街道側の塀に、門を設けています。
この屋敷には元々長屋門があるのですが、その門の構えが自分には立派過ぎると言って、こちらの新設した門と勝手口を通常の出入りに使用していたそうです。

ちなみに、門のデザインは吉川英治自身によるもので、門の木戸は雨戸のように一ヶ所にまとめられるようになっています。
というのも、実は門内にガレージがあったため、この門を車が通過するために広く開けるようにしてあるのです。

その先、塀と吉野街道の間の土地は、現在は駐車場になっていますが、元々は梅林となっていました。

現在、書斎の様子を復元しているのは母屋の隣にある離れです。
この離れが洋館風の外観をした変った建物なのですが、吉川英治以前の持ち主が明治時代の中頃に建てたものだと言われています。
外観は完全に洋館ですが、中は畳敷きで炉も切ってあり、床の間風のスペースもあります。
ここに使われている≪本業タイル≫については、以前触れました

タイル同様に貴重なものが、母屋の1階のガラス戸に使用されている古いガラスです。
本格的に工業生産される前の、少しゆがみのあるガラスが、今でも残っています。

今の我々にとってはもちろん、当時移り住んできた吉川英治にとっても、懐かしさと風情を感じさせるものであったでしょう。

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コメント

突然の訪問しつれいします。
最近、吉川英治さんの本に興味があり、読み始めています(^^)
ですが、この短編集タイトルの読み方がわからなく、ネットなどで探したのですが、わからずじまいです。
探している時に、ここのブログサイトを知りました。
せっかく読んでる本なので、この読んでる本のタイトルのよみもわかればいいな~っと思っております。
もし、わかりましたら教えていただけたら助かります。
突然の訪問に、こんな事お願いしてしまい、本当にすみません!!

投稿: 木村めぐみ | 2010年9月30日 (木) 10時11分

>木村めぐみ様

コメントをいただき、ありがとうございます。
もちろん、当欄でご質問いただいても構いません。

どの短編集のことか、書き込んでいただければ、お答えいたします。

ちなみに、現在刊行中の「吉川英治歴史時代文庫」のものならば、「柳生月影抄」と「治郎吉格子」ですが、それぞれ「やぎゅうつきかげしょう」と「じろきちごうし」です。

投稿: 片岡元雄 | 2010年9月30日 (木) 11時30分

おはようございます!
コメントのご返答ありがとうございます!( ・∀・)
ちなみに今私が読んでいる本は、図書館で借りた本なのですが、
「吉川英治全集44巻 短編集1」
です。
発行年が1970年と、けっこう古い本です(^^;
その短編集の中にあります「花街三和尚」というお話です。

「治郎吉格子」は、この前読み終えたところです!
ジロキチゴウシと読むんですか^^
これでまた吉川英治さんの本に興味が湧いてきました♪
司馬遼太郎や、吉川英治の本は難しい読みが多く、とても四苦八苦しながら読んでますが、またそれも本を読む上での醍醐味なのかなと思って読んでます(^▽^)

こんな突然の訪問&質問なのに、丁寧に教えていただいて本当にありがとうございます!m(_ _)m

長々とコメントすみません!

投稿: メグミ | 2010年10月 1日 (金) 09時21分

「三国志」や「宮本武蔵」を入り口に吉川英治の作品に触れる方が多いと思われる中、短編集とは渋いチョイスですね。
代表作は長いので、という理由かもしれませんが(笑)

>その短編集の中にあります「花街三和尚」というお話です。

こちらでは「はなまちさんおしょう」と読んでおります。

とにかく吉川作品の数は沢山ありますので、ゆっくりチャレンジしてみてください。

投稿: 片岡元雄 | 2010年10月 1日 (金) 15時44分

お礼のコメントが遅くなってしまい、すみませんでした。
教えていただきありがとうございます!happy02
なるほど!「はなまちさんおしょう」と読むんですね(^^
私は、けっこう短編集が好きなので、初めて読む作家さんの本は短編集から読むのが多いですsmile
正直に話せば…図書館に「宮本武蔵」の本を借りに行ったら、ほとんど借りられていたので、短編集を借りたというのもありますが…(笑
でも今は、逆に短編集から借りてすごく良かったと思います(o^-^o)
頑張って全集すべて読破したいと思います。
本当に本当にありがとうございました!

投稿: めぐみ | 2010年10月13日 (水) 19時53分

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