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2011年9月29日 (木)

富士山

あるところ方から「吉川英治には富士山を詠んだ句がありますか?」とのお問合せがありました。

その切り口で吉川英治の川柳・俳句を調べてみたことがないので、興味深いと思い「川柳・詩歌集」「続川柳・詩歌集」をパラパラとながめてみました。

その結果、とりあえず「富士」の語が入ったものを3句見つけました。

雲の峰崩れて富士を呑まんとす

雑誌『秀才文壇』明治39年9月号に≪霞峰≫の号で投稿されたもので、吉川英治14歳の時の作品になります。
年齢の割に達者といえば達者ですが、達者すぎていけ好かない感じも受けないではありません。

富士も暮れ都も夕べビルディング

こちらは大正時代の句。
東京の夕暮れ時に遠望できる富士山の姿と、都市化によって建ち並び始めたビルとを対比したものでしょうが、個人的には通っていた大学の図書館から冬の夕方に新宿副都心のビル群とともに眺めた富士山のシルエットを思い出します。
現代にも通用する句ですね。

国はまだ夜深し富士の薄朝日

地球は丸く、そして富士山は標高が高いので、平地より少し先に日の出が見られます。
東京より西にありながら、日の出の時間は東京より富士山頂の方がわずかに早くなっています。
それを踏まえた句でしょうか。
詠まれたのは終戦から間もなくの時期のようです。
敗戦の暗さの中にも、復興への光はわずかながら兆している、そんな思いが込められた句ということになるでしょうか。

小説「宮本武蔵」の中にも富士山を描いた場面がありますし、もう少しあるかと思ったのですが、以上の3句だけでした。
もしかすると、「富士」の語を含まない形のものがあるかもしれませんが、詠まれた状況がはっきりしないものも多いので、そこまでは追究できませんでした。

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