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2012年6月 9日 (土)

論文

私はよく冗談で、「読者は少ないが研究者が多いのが純文学、読者は多いが研究者は少ないのが大衆文学」などということを言ったりします。

実際、「吉川英治の研究といえばこの人」という方は、あまりいらっしゃいません。
また、「吉川英治の研究をしているので○○について教えて欲しい」とか「研究のために□□という資料が見たい」といったご要望を、当館に寄せられる方も、滅多にいらっしゃいません。

その滅多にないことが、数年前に複数、重なったことがあります。

吉川英治を取り上げて修士論文を書きたいという人が2名、卒業論文を書きたいという人が2名、同じ頃に現れたのです。

面白いのは、4名のうち3名が「三国志」を取り上げようとしていたこと(ちなみに残りの1名が取り上げた作品は「新書太閤記」)。
また、4名中3名が女性であったこと。
そして、修士の2名は外国出身者であったこと。
いずれも、戦時下での執筆意識の問題に関わることに関心を持っていたこと、です。

最初の点は、現状、最も読まれている吉川作品が「三国志」であることを考えると、そう不思議でもないのですが、女性や外国出身者が吉川英治に関心を持つというのが、意外でした。
それと、同じ時期に、似たような傾向の研究をしたいと考える人が重なったことも。

私はポンコツ学芸員なので、今思うとご要望に十分応えられなかったのではないかと危惧していますが、それでも、こうして吉川英治について真面目に研究したいという方には、協力は惜しまないつもりです。

もっとも、当館の収蔵資料も完璧ではありませんので、所蔵がなくてご提供できないものや、資料の性質や当館の事情からご提供できかねるものもあります。

それは念頭に置いた上で、ご相談いただけば、可能な限りの対応はいたします。

うまく吉川英治記念館を活用していただければ、こちらとしても幸いです。

ちなみに、この時に卒論のための調査に来た女子学生が、後年、修士論文の調査にもやって来て、このまま研究者として吉川英治を対象にしてくれれば嬉しいなと思っていたのですが、残念ながら博士課程には進まずにまったく無関係の仕事に就職してしまったことを知りました。

やはり読者は多くても研究者は少ないのですな(苦笑)

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