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2012年11月17日 (土)

複数のタイトルを持つ作品(1)

メールで、こんな内容のお問合せをいただきました。

吉川英治氏作の「悲願四目菱」の切り抜きを入手しました。同名の作品の刊行がないかを調べてみましたが、見つけ ることができずにいましたが、最近入手した「江戸城心中」と同じ作品であることに気がつきました。
連載小説の時と名前を変えて出版されることは多いのでしょうか?

吉川英治の作品で、同じ作品でありながらタイトルが複数存在するものが、いくつかあります。
お問合せを受けて、少し調べてみたところ、そうした作品が23作品ありました。
吉川英治はおよそ250編の作品を残していますので、約1割が該当することになります。

作品のタイトルが複数ある理由は様々ですが、それをパターンに分けて、以下にご紹介してみようと思います。

まずは、お問合せのあった「江戸城心中」から。

(1)複数の媒体に同時掲載され、その媒体ごとにタイトルが異なる

これは「江戸城心中」の1作品のみです。

「江戸城心中」は『河北新報』昭和5年9月1日~6年5月9日に掲載された作品ですが、同時に『北海タイムズ』昭和5年9月5日~6年5月9日に「恋愛三世相」として、『新愛知』昭和5年9月5日~6年5月7日に「悲願四目菱」として掲載されました。

全国紙ではこういうことは起こりませんが、流通範囲が重複しない地方紙の場合は、同じ作品が複数の地方紙に掲載されることがありました。
吉川英治の作品では、「三国志」(『中外商業新報』『名古屋新聞』他)もそうですが、「三国志」は同一タイトルで掲載されたのに対し、「江戸城心中」の場合は新聞ごとにタイトルを変えて掲載されました。

したがって、この場合、単行本化の際にタイトルを変えたというよりは、タイトルを統一したと言うべき事例でしょう。
 

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